(1)進出形態
日本への進出形態としては、①駐在員事務所、②支店、③子会社(日本法人)が考えられます。これらは、択一的ではなく、進出の段階に応じて選択されることもあります。
(2)駐在員事務所
駐在員事務所については、具体的な営業活動は行うことができず、その準備活動の拠点として設置されます。広告宣伝活動や市場調査、物品購入、情報調査等を行うことができますが、駐在員事務所の名義で銀行口座の開設や不動産の貸借はできず、代表者が個人で行わなければなりません。
登記等法的に要求される手続きはなく、一定の場所を確保することによって設置は完了します。ただし、外国の銀行、保険会社、証券会社等の金融機関の場合は金融庁に事前届出が必要となります。
(2)支店
支店については、駐在員事務所と異なり、営業活動、銀行口座の開設、不動産の貸借も可能になります。支店については、法人格がなく、権利義務は外国の本社に帰属することになります。支店の損益は外国の本社所得に合算されるため、欠損が出た場合、本国での節税効果もあります。ただし、支店独自で意思決定を行うことは通常想定されていません。
支店の設置にあたっては、法務局において同一商号の調査、支店設置に関する宣誓供述書の作成、外国企業の本国の公証人等、在日大使館の領事等による宣誓供述書の認証、法務局へ支店設置登記申請等の手続が必要となります。
(3)子会社(日本法人)
子会社(日本法人)については、会社法に基づいて、株式会社や合同会社等を設立します。当然法人格もあり、独自の意思決定も行うことが可能になります。
株式会社の設立手続きは、①設立概要の決定、②定款作成、③資本金の払込み、④登記書類作成、⑤登記申請、⑥登記後の各種行政と手続を進める必要がありますが、出資者が外国会社の場合は、外国会社の登記事項証明書等の取得・外国会社の概要に関する宣誓供述書、外国会社代表者のサインに関する宣誓供述書の準備が必要となります。