「日本における会社の撤退手続き」

外国企業が日本での事業から撤退する場合,いくつかのパターンが考えられます。日本の事業の全部から撤退する場合の主なものとしては,日本支店の閉鎖,日本法人の解散,株式譲渡があります。
 日本支店を閉鎖する場合,日本における全ての代表者の退任の登記のみをする方法で行うことも可能です。 日本法人の解散をする場合,資産が負債を超過していれば通常清算,負債が資産を超過していれば特別清算か破産を選択することになります。
 通常清算は,残余財産を株主に分配する手続であり,裁判所の関与なく進めることができますが,2か月以上の期間を設けた債権者保護手続が必要です。
 特別清算は,裁判所の関与を受けながら,債権者との和解または協定を経て清算を結了させる手続きです。そのため,債権者の同意を得ているか,同意を得られる可能性が高い場合に選択し,債権者の同意を得られる見込みが低ければ破産申立を選択すべきです。また,特別清算は,公租公課,社会保険料,従業員の給料等の優先権のある債権を弁済するだけの残存資産がある場合にのみ選択可能です。
 破産は,裁判所への申立により始まり,裁判所より選ばれた破産管財人が会社の財産の処分・換価をし,配当できる原資が確保できた場合には配当をしたのち,法人を消滅させる手続です。破産により会社の債務はすべて消滅し,滞納税金等の租税債務も消滅します。
 会社に買い手がつくのであれば,株式譲渡により撤退することが可能です。
 日本での一部の事業から撤退する場合には,事業の買い手をみつけ,事業譲渡を選択することがありえます。事業のうち,資産や契約上の地位など何を譲渡するのかは,専ら譲受人との契約によって定まります。ただし,譲受人に契約上の地位や債務を移転するためには,個別に契約の相手方からの同意を得る必要があります。