撤退手続は、会社法に規定されており、それぞれ①株主による任意清算、②債権者による任意清算、③裁判所命令による清算(強制清算)、④ストライク・オフに分かれます。また、⑤会社は存続させた上で、株式譲渡により会社の運営から離脱する方法も存在します。
上記の手続きのうち、一般的に取られる手続きは、①株主による任意清算又です。
株主による任意清算は以下の流れで進められます。
(1) 支払能力表明・臨時総会株主開催のための取締役会開催
(2) 支払能力表明書を作成し、会社登記所(CCM)へ提出する
(3) 臨時株主総会を開催し、清算の特別決議(議決権総数の75%)及び清算人の選任、清算人の報酬の決定を行う
(4) 株主総会決議書を会社登記所へ提出する
(5) 株主総会決議の新聞(マレー語及び英語)への公告
(6) 清算人選任の社登記所へ通知
(7) 清算人が21日以内の債権証明提出を依頼する通知を債権者に対して行い、当該通知を新聞に掲載する
(8) 清算人は、以下の優先順位に従い弁済を行う。
‧ 担保債権者
‧ 優先債権者
‧ 一般債権者
‧ 株主
(9) 内国歳入庁、EPF、SOCSO、税関等の関係官庁から、全ての債務を支払っている旨のクリアランスを取得する。
(10) 清算人は、会社に関する事項が全て清算された場合、速やかに最終株主総会を開催し、開催後7日以内に最終株主総会の報告書並びに清算過程及び資産処分方法に関する報告書を会社登記所及び公定管財人に提出する
(11) 最終株主総会の報告書並びに清算過程及び資産処分方法に関する報告書の提出から3か月経過後、会社は解散消滅する
②債権者による任意清算は、会社が債務全額を弁済することが困難である場合に取る手続であり、支払能力表明書が作成されない、清算人が債権者集会により選任される等の違いがあります。
③裁判所による強制清算は、労力と期間を要するため、実務上使用されることはまれですが、株主間で対立が存在する場合には選択肢の一つとなりえます。
④ストライク・オフは、債権債務及び資産のない休眠状態の会社のみが、登記を抹消により会社を消滅させることができる簡易な手続です。
⑤株式譲渡は、買受人と株式譲渡契約及び譲渡証書を締結し、会社登記所に変更の申請をすることにより完了します。