「バングラデシュの解雇手続き」

バングラデシュ労働法で規定されている解雇として、(1)使用者による雇用契約の終了、(2)一時解雇、(3)人員整理、(4)労働者の精神的または身体的な障害により就労が不能な場合、(5)労働者の不正行為や違法行為による解雇、が挙げられます。新型コロナウイルス感染拡大の影響による解雇の場合は、(1)使用者による雇用契約の終了、(2)一時解雇、(3)人員整理が該当すると考えられます。

(1) 使用者による雇用の終了

解雇の理由についての規制は定められておらず、使用者は、以下の措置をとることで、解雇が可能です。

(a) 無期雇用労働者の雇用を終了する場合

月給労働者の場合は、120日前までの書面による通知、その他の労働者は、60日前までの書面による通知が必要です。労働者の勤務年数ごとに30日分の賃金または一時給付金の高額な方を補償金として支払わなければなりません。補償金は労働法にて定められている他の給付に加えて支払われます。

(b) 非正規雇用労働者の雇用を終了する場合

月給労働者の場合は、30日前までの書面による通知、その他の労働者は、14日前までの書面による通知が必要です。

無期雇用および非正規雇用ともに、通知せずに労働者の雇用を終了したい場合は、上記の通知期間日数の賃金を支払うことで、可能です。

(2)一時解雇

感染症の拡大は、労働法で規定されている一時解雇の理由に該当しませんが、使用者の力が及ばない不測の事態による事業の停止が認められています。業務停止が3日を超える場合は、一時解雇の扱いとなり、更に一時解雇が45日を超える場合は、人員整理により解雇することができます。

勤務期間が1年以上の労働者を一時解雇する場合は、以下の補償金を支払わなければなりません。

(a) 一時解雇の期間が1日から45日の場合

週休を除く一時解雇の期間、基本給および手当の半額と住宅手当全額

(b) 一時解雇の期間が45日を超えた場合

別段の合意がない限り、46日目以降は、基本給および手当の4分の1と住宅手当の全額

(3)人員整理による解雇

勤務期間が1年以上の労働者に対しては、1か月前に文書による通知または1か月の賃金を支給し、検査官および労働組合(あれば)に通知を提出し、労働者の勤務年数ごとに30日分の賃金にあたる補償金または一時給付金の高い方を支給しなければなりません。人員整理が一時解雇の代わりになされるときは、通知は不要ですが、さらに15日分の賃金にあたる補償金を上乗せして支払う必要があります。