【タイの商標出願の概要】

(1)出願人商標登録の出願人は、自然人、法人いずれでもなることができます。ただし、出願人または代理人のいずれかは、DIP(Department of Intellectual Property)の登録官が連絡を取ることのできる事務所または住所をタイにおいて有していなければなりません(商標法10 条)。したがって、出願人が会社の場合は、会社がタイ国内にあるか、タイ国内で代理人を選任することが必要となります。

(2)商標要件商標登録を受けるためには、以下の登録要件を満たす必要があります(6条)。

① 識別力のある商標であること(7条)

② 商標法に基づき、禁止されていない商標であること(8条)

③ 他人が登録した商標と同一、または類似する商標でないこと(13条) 

①の「識別力」のある商標とは、その商標が使用されている商品が、他の商品とは異なることを識別することを可能にする商標とされています。他人の商品と自分の商品を区別する機能(自他商品識別機能)を発揮し得ない商標は、識別力のある商標とは認められません。装飾化された文字または数字、特別な様式で表示されている色彩の組み合わせなどを用いることで識別力のある商標と認められやすくなります。しかし、タイにおいては日本以上に識別力がないと判断される傾向があるため、留意が必要となります。

 ②については、国の紋章や王室の印章、官公庁印、王や王妃の肖像、公序良俗に反する商標などが規定されています。

③については、最初に出願した者に権利を与える先願主義を明らかにしたものです。

(3)審査商標出願を行うと、方式審査および登録要件についての審査が行われます。商標が登録要件を満たしていると判断された場合、登記官は当該出願の公告を命じ(29 条)、出願が商標公報に公告されます。利害関係を有する者は、商標公報に公開された日から60 日以内に異議申し立てをすることができます(35 条)。出願公告において異議申し立てがなかった場合、登録が可能となり、登記官は出願人に商標の登録について書面で通知し、出願人は通知を受領した日から60 日以内に、登録手数料を支払わなければなりません。支払われない場合には、当該出願は放棄されたものとみなされます(40 条)。補正命令や異議申し立てがない場合、約10ヶ月から1年程度で登録となります。

(4)商標権者の権利商標権者として登録される者は、当該商標を使用する排他的権利を有することになります(44 条)。また商標が登録される場合、当該商標は登録出願を行った日に登録されたものとみなされます(42条)。登録された商標は登録出願の日から10 年間有効であり、また更新が可能です(53 条)。

(5)出願費用1区分(区分=商品役務を区切る大きなグループのこと)の出願の場合、日本円で約13万~20万円程度が必要となります。これは代理人費用・公的費用含みます。費用は指定する指定商品・役務の数、拒絶理由通知・補正指令の有無等によっても変動します。 1区分の出願を前提として、具体的な費用の内訳としてはまず、出願時に1指定商品あたり千バーツ(6指定商品以上を記載する場合は一律9千バーツ)、登録時に1指定商品あたり6百バーツ(6指定商品以上を記載する場合は一律5千4百バーツ)の公的費用がかかります。 公的費用に加えて、代理人に依頼した場合は代理人費用が必要となります。この点、日本の特許事務所に依頼すると、一般的には日本国内の代理人費用(弁理士費用)とタイの代理人費用が二重に発生し、費用が高額になることが多いです。

(6)その他 2016年7月の法改正により、1出願で多区分を指定した出願が可能となっています。ただし、分割出願ができないため、一部の区分に拒絶理由がある場合に、その区分の削除か、出願全体について拒絶理由を争うことしかできず、現在でも区分ごとの出願を行うことが多いです。 また、タイはマドリッド協定に加盟しているため、国際出願が可能となっています。

当事務所タイオフィスにて出願対応可能ですので、本記事の詳細は当事務所へお問い合わせ下さい。

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