【マレーシアの商標出願の概要】

 マレーシアの商標登録手続は、2019年商標法(Trade Marks Act 2019)及びその下位規範によって規律されています。

(1)申請権者 

商標の真正な所有者であると主張する者は、以下の場合に商標の登録を出願することができます。

i. 取引の過程で商標を使用している又は使用するつもりである場合

ii. 取引の過程で他の者に商標を使用することを許可する又は許可するつもりである場合

(2)予備備的助言制度

 商標登録の出願を希望する者は、登録官に対して当該商標が登録可能な商標であるかどうかについて予備的な助言及び調査結果を求めることができます。出願希望者が登録官から肯定的な助言を得たうえで一定期間内に当該商標の登録出願をしたものの、更なる調査又は審査の結果、登録可能な商標ではないという趣旨の拒絶の通知を受けた場合、一定期間内に出願を取り下げることにより納付済みの出願手数料の返還を受けることができるものとされています。

(3)申請

ア 申請の単位 1つの申請で複数の分類に属する商品又はサービスを対象とすることができます。 

イ 連続商標 商標登録の出願に際しては、本質的に同一である複数の商標を「連続商標」として単一の願書で出願することができるものとされています。 ウ 早期審査 商標の登録申請者は、所定の期間内に所定の料金の支払いとともに登録官に対し申請書を提出することにより、早期審査を請求することができます。旧商標法(1976年商標法)は同制度についての規定を置かず、商標規則(Trade Marks Regulations 1997)によってのみ定められていましたが、現行商標法は同制度について明文の規定を置いています。

(4)登録審査

 ア 形式審査 商標登録の申請に際しては申請書の提出や手数料の支払が必要となるほか、ローマ字以外で構成される商標については補足資料(音訳、翻訳、その他所定の資料)の提出が必要となります。形式審査においては、これらの資料に不備がないかが審査されます。申請後所定の期間内に手数料の支払いや補足資料の提出がされない場合、申請は取り下げられたものとみなされます。

 イ 実体審査 形式審査が終了すると、実体審査が開始されます。実体審査においては、絶対的登録拒絶事由及び相対的登録拒絶事由の有無が審査されます。

(5)審査後の手続

 審査が終了した後、登録官は出願を受理するか否かを決定します。登録官が出願を受理する場合にはそのまま公告がなされ、異議申立がなければそのまま登録へと進むこととなります。 当該商標が商標登録の要件を満たしていないと登録官が判断した場合には、出願者に対し暫定拒絶の通知がされ、聴聞等を通じて更なる検討がなされることとなります。

(6)異議の申立手続 

商標登録の出願の受理が公告された場合、当該商標の登録に異議がある者は異議申立をすることができます。異議申立は当該公告から2か月以内になされなければならないとされています。

(7)登録 

出願が受理され、異議申立がなされないまま所定の期間が満了した場合又は異議申立に対して出願者に有利な決定がされた場合、登録官は商標の登録を行います。登録は出願の日付でなされ、同日が登録日とみなされます。

(8)登録の更新 

商標登録の存続期間は登録日から10 年間であり、更新によりさらに10年間延長されます。 商標登録の存続期間満了後であっても、満了日から6か月以内であれば 更新の申請をすることが認められています。商標登録の存続期間満了から6か月以内に更新が行われない場合には商標は削除されたものとみなされますが、削除から6か月以内であれば復元の申請を行うことができるものとされています。

当グループマレーシアオフィスにて出願対応可能ですので、本記事の詳細は当事務所へお問い合わせ下さい。