【ミャンマーの会社法の株主総会に関連する法規制の概要】

(1)株主総会の種類株主総会には①年次株主総会②法定株主総会(公開会社及び株式資本を持つ有限責任保証会社の場合)③特別株主総会(①②以外に定められたその他の総会)の3種類が存在します。しかし、日系企業はほぼ全て非公開有限責任株式会社であり、かつ、特別総会の開催は少ないことから、以下では①年次株主総会についてのみ解説します。

(2)開催時期設立から18カ月以内、その後の後少なくとも毎暦年1回、前回の開催から15ヶ月以内に総会開催する必要があります。ただし、同条は小規模会社(公開会社及びその子会社以外の会社であって、その会社及びその子会社の従業員数が30名以下であり、かつその会社及びその子会社の、前会計年度の年間売上が総額50,000,000チャット未満である会社)には同規定は適用されません。

(3)招集方法(a)通知株主総会は、書面による21日以上前の通知(又は会社の定款により長い期間が定められている場合はそれ以上前の通知)もしくは公開会社の場合は書面による28日前以上前の通知によって招集することができます。ただし、特定の総会につき通知の受領権限がある株主全員の同意を得れば、株主が適切と考えるより短い期間で、株主が適切と考える方法によって総会を開催することもできます。書面による通知は、議決権を有する全ての株主、取締役及び監査人に宛ててなされる必要があります。(b)招集権者(i)取締役による招集随時、取締役会の議長が召集することができます。または、定款の規定に従い、定款に規定されているその他の取締役又はその他の人(一名又は複数)が招集することができます。(ii)株主による招集定款の規定にかかわらず、株式資本を有する会社の取締役は、株主総会で議決可能な総議決権の1/10以上を保有する株主の請求又は少なくとも100名の総会において議決権を有する株主の請求があった場合は、実施を提案された議事が、総会で適切に検討することができる種類のものであれば、直ちに株主総会の招集手続きを進める必要があります。なお、裁判所命令による招集も存在します。(c)通知の記載事項(i)総会の場所、日時(ii)総会の議事の一般的性質(the general nature of the meeting’s business)(iii)総会が年次総会、法定総会又は特別総会のいずれであるか(iv)総会で提案される決議案(株主が提案した特別の決議又は普通決議を含む)。必要な説明資料を添付した上で記載する必要があります。(v)代理人又は企業代表者の任命に関する情報及び指示(そのような任命の通知を受け取ることができる期間及びその通知の送付方法を含む)(vi)定款又は本法規定その他の必要情報(d)通知方法総会の書面による通知は、総会で議決することができるすべての株主、すべての取締役及び監査人に行う必要があります。通知は以下の方法で行うことも可能です。(i)手交(ii)株主登録簿に記録された株主の住所又はこの目的のために株主から通知されたその他の住所への郵便その他の直接送付(iii)この目的のために株主から通知されたファックス番号又は電子アドレスに電子的に連絡(iv)定款に明記された方法

(4)決議各株主は一名につき1つの議決権を持つ挙手決議と、一株につき株式に1つの議決権を持つ投票決議の二種類の議決が存在します。株主総会で票決に付された決議は、投票決議が要求されない限り、挙手決議によって決定されます。株主総会決議には、普通決議(Ordinary Resolution)と特別決議(Special Resolution)の2つが存在します。普通決議は、総会出席者の単純過半数を決議要件としています。特別決議は、出席株主の4分の3以上の賛成です。いずれも委任状による議決権行使を含みます。特別決議については日本よりもハードルが高いことに留意が必要です。

(5)書面決議決議に投票することができるすべての株主が、その文書に記載された決議を支持する旨の陳述を含む文書に署名する場合、非公開会社は総会を開催することなく総会決議を成立させることができます。同じ形式の書類の別個の写しに署名することができ、その場合最後の株主が署名するときに決議が成立します。

(6)議長会社の定款に従い、取締役らによって選出された者が議長を務めます。但し、その者が会議に出席しない場合は、出席株主が議長を選任します。

(7)議事録会社法上、株主総会及び書面決議の全ての手続きについての議事録を準備する必要があります。当該議事録又は書面決議は株主総会の開催又は書面決議による決議から21日以内に記録する必要があり、議長又はその他の権限のある取締役により署名する必要があります。株主総会及び書面決議の手続きについて、議事録を含む記録は、会社の登記事務所又は会社法に基づき会社の登記簿が保管されているその他の場所において保管する必要があり、営業時間中株主に対して無償で閲覧に供する必要があります。 また、株主は株主総会から7日経過後はいつでも会社に対し、議事録又は決議の写しを要求してから7日以内に取締役会で定めた合理的な金額でこれらを提供するよう求めることができます。本記事の詳細は当事務所へお問い合わせ下さい。