【メキシコの産休・育休に関する法制度の概要】

メキシコでは、妊娠した女性は、産前産後各6週間の休暇を取得することができます。また、社会保険庁(Instituto Mexicano del Seguro Social: IMSS)の病院または産業医など使用者が労働者に対して提供する医療サービスの主治医の許可がある場合、当該労働者は、使用者の意向や当該労働者の仕事の性質を考慮し、産前休暇のうち最大4週間を産後休暇に変更することができます。さらに、子どもが何らかの障がいをもって生まれた場合や、入院が必要な場合は、それを証明する診断書を以て産後休暇を最大8週間まで延長することも可能です。この場合の休暇は給与100%が支給される有給休暇となります。なお、社会保険の被保険者が妊娠した場合、

①給付金の支給開始日(出産予定日の42日前)以前12か月の間に30週以上の社会保険料の納付があること、

②IMSSの病院が発行する妊娠していること及び出産予定日が記された診断書があること、

③給付金対象期間に報酬を伴う仕事を行わないこと

を条件として、出産予定日の前後42日間、基準給与額(給与額に福利厚生を含めた額/Salario Base de Cotización: SBC)の100%の額の給付金を受け取ることができます。出産日が予定日と異なった場合は、産後42日間については実際の出産日より起算され、これにより出産前の未就業期間が42日間を超える場合は、その超えた期間について、SBCの60%額が支給されます。この給付金を被保険者が受け取ることにより、使用者は、この休暇中の給与を、社会保障法で定められた限度額まで支払う義務を免除されます。その他、妊娠や出産によって就業が困難な場合には、必要な期間この休暇を延長することが可能です。当該延長期間については、労働者は60日間を超えない期間において給与の50%の額を受け取る権利があります。また、乳児を養子とした場合、親となる女性労働者は、迎え入れた日の翌日から6週間の有給休暇を取得できます。一方、男性の労働者に対しては、子どもが誕生した場合や養子を迎え入れた場合に5労働日の有給休暇を与えることが使用者の義務として定められています。なお、 上記のほか、日本のように1歳未満の子を持つ労働者が子の養育のために取得する育児休業を認める法制度はありません。