【マレーシアのテレワーク導入に関する法的留意点】

マレーシアでは、テレワークの導入に際して労働関係法令の改正はなく、新たなガイドラインも発行されていません。そして、テレワークについてもオフィスで働く場合と同様に労働関係法令は適用されます。

もっとも、MITI(国際貿易産業省)により発表されたプレスリリースとともに出されたFAQによると、テレワークは、それぞれの企業のニーズに沿ったWFH(Work From Home、在宅勤務)のガイドラインに従って実施されると規定されています。このプレスリリース及びFAQは、MITIが管轄する企業・事業所に適用されます。

 マレーシアでは日本のように就業規則を作成・届け出る法令上の義務はありませんが、未然に紛争を防止するため、多くの会社で社内規則をはじめとする就業規則が定められています。テレワークの導入についても、未然に紛争を防止するために必要がある項目は、社内(就業)規則に定めて法的拘束力を生じさせることが望ましいといえます。社内(就業)規則に法的な拘束力を持たせるためには、社内(就業)規則記載の労働条件につき労働者との間で合意が成立していると言えることが必要となるため、雇用契約書において社内(就業)規則記載の労働条件が適用される旨を記載すること、配布などの方法により社内(就業)規則の内容を認識させることが必要となります。具体的に記載する項目として、通信費や光熱費の負担、変更がある場合の始終業時刻、情報通信機器の貸与、情報セキュリティ対策等の事項について明確にしておくことが望ましいと考えられます。