【メキシコのテレワーク導入に関する法的留意点】

(1) 立法動向

メキシコにおいては、1月11日にテレワークに関する連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)の改正を内容とする法令が公布され、翌日施行されました。その概要は以下のとおりです。なお、テレワークに関する労働安全衛生の細目を定める規格NOM(Norma Oficial Mexicana、法的拘束力を持つ規格基準)は未制定であり、当該法改正の施行から18か月以内に公布される予定です。

(2) 定義

改正法におけるテレワークの定義は、テレワーク労働者と使用者との間の連絡及び指揮のために主として情報通信の技術を用いて、職場におけるテレワーク労働者の物理的な存在を必要としないように、使用者の事業所以外の場所で有給活動を行うことからなる二次的な業務組織の形態をいうとされています。テレワークに関する規定は、テレワーク形態の下で労働者の自宅又は労働者が選択した所在地において、時間の四十パーセントを超えて行われる労使関係に適用されるとしています。ただし、時折、または散発的に行われる労働は、テレワークとはみなされません。

(3) 労働条件の書面交付等

労働条件は、契約書面に記載し、各当事者はその写しを保管しなければなりません。その記載事項としては、①当事者の氏名、国籍、年齢、性別、住所、②業務との性質と特徴、③給与の額、支給日、支給場所又は支給形態、④労働者に提供される機器等(安全衛生義務に関する物を含む)、⑤テレワークに関連し労働者が負担した費用の支払いについて、使用者がテレワーク下の労働者に支払う内容と金額、⑦当事者間の連絡及び監督の仕組みスケジュール等、⑦その他当事者が合意する事項になります。また、テレワークが労働条件の内容となった労働協約について労働者にその写しの交付が求められるほか、労働者に団体交渉等の知識に関する情報共有などが求められます。

(4) 使用者の義務

テレワークにおいては、使用者は次の特別な義務を負います。①コンピュータ機器、人間工学に基づいた椅子、プリンター等のテレワークに必要な機器の提供、設置、メンテナンスの計らい、②適時に仕事を受領し、定められた方法で、定められた期日に賃金を支払うこと、③テレワークを通じた仕事から得られる費用を想定すること、④労働安全衛生に関する規定を遵守して、テレワークで労働者に提供された物品の記録を保管すること、⑤テレワークで労働者が使用する情報やデータのセキュリティを維持するための仕組みを実施すること、⑥テレワーク労働者の労働終了時のつながらない権を尊重すること、⑦社会保障制度にテレワーク労働者を登録すること、及び⑧テレワークにおける労働者の情報技術の適応、学習及び適切な利用を保証するために必要な訓練及び助言の仕組みを確立することなどとされています。

(5) 労働者の義務 

他方、労働者についても、使用者から支給された備品等の管理、テレワークに起因する電力消費量・費用等の報告、職場の安全衛生に関する規定の順守、監督を受ける仕組みや運用体制への留意、データ保護方針等への注意等について義務が定められています。

(6) 労務管理

テレワークを監督するために使用される情報通信技術は、その目的に比例したものでなければならず、テレワークの下で労働者のプライバシーの権利を保証しなければならず、ビデオカメラ及びマイクは、特別な理由で、またはテレワークの様式の下で労働者が行う機能の性質が必要とする場合にのみ、テレワークを監視するために使用することができると限定されています。

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