【バングラデシュの雇用契約及び就業規則の概要と法的留意点】

(1) 労働契約
労働者の雇用にあたり、使用者は、採用通知書、写真つき身分証明書、サービスブック、雇用登録、チケット・カードを作成しなければなりません。このうち、採用通知書が労働契約書に類似しており、採用通知書の必要記載事項は以下の通りです(労働規則第19条(4))。
採用通知書に記載しなければならない事項
1) 労働者の氏名、2) 両親および配偶者の氏名、3) 住所、4) 所属、5) 職種、6) 入社日、7) 労働者区分、8) 賃金または給与体系(昇給率などがあれば)、9) 手当(住居手当、医療手当、教育手当など)、10) 採用条件・就業規則・労働法を遵守する旨
(2) 就業規則(Service Rule)
就業規則の作成は義務ではありません。使用者が、就業規則を作成する場合は、労働者に対し、労働法の規定より厳しい規定は認められません。使用者は就業規則を作成し、労働規則で定められている手続きに従い、労働者または労働組合から意見聴取をしたうえで必要に応じて変更し、検査官より承認を得る必要があります(労働規則第4条)。就業規則に記載すべき事項は以下の通りです(別紙7(Form1))。
就業規則(Service Rule)に記載しなければならない事項
1) 労働者区分、2) 労働時間および休暇、3) 休暇の申請手続きおよび条件、4) 職場の閉鎖および再開の時期、業務の一時停止に関する使用者および労働者の権利と責務、5) 一時解雇の手続きおよび補償、6) 人員整理の手続きおよび補償、7) 労働者の心身障害の就労不能による退職の手続きおよび補償、8) 雇用終了の通知・条件・手続き・補償、9) 不正行為・停職の条件および補償、10) 定年退職の手続きと退職金、11)不測の事態による工場閉鎖が生じた場合の責任、12) 死亡給付金と手続き、13) 積立基金設立の手続き、14) 労働者の企業利益参加および福祉基金の設立、15) 医療給付、16) グループ保険の手続き、17) 昇進規程、18) 年収および昇給、19) 苦情処理手順、20) 罰金の手続き、21) 請負業者による業務(あれば)、22) 見習い労働者の採用手続き、23) その他関連事項