【マレーシアのフランチャイズによってビジネス展開を試みる場合の注意すべき規制 】

(1) フランチャイズ法

フランチャイズ契約とは、対価の支払いを条件として、フランチャイザーが確立したフランチャイズシステム及びフランチャイザーの商標、知見、知的財産権等を利用して事業を運営する権利(以下「フランチャイズ」といいます)をフランチャイジーに与える契約をいいます。フランチャイズの形態による進出については、フランチャイズ法(Franchise Act 1998)による規制があります。以下、フランチャイズ法の規制を紹介いたします。

(2) 登録

外国企業がマレーシア国内で又はマレーシア国民に対してフランチャイズの販売を行う場合、フランチャイズ登録局に対し登録申請を行い、承認を得なければなりません。

この登録の申請には、以下の書面を添付する必要があります。

  1. レター・オブ・インテント(Letter of Intent)
  2. 会社の設立証明書(認証付き写し)
  3. 商標の登録証明書(認証付き写し)
  4. 会社のパンフレット
  5. 事業所の写真

同申請に対し、フランチャイズ登録官は理由を示すことなく登録を承認又は拒否することができます。また、外国企業のフランチャイジーも、そのフランチャイズ事業の登録申請をし、承認を得なければなりません。

(3) 契約内容の規制

フランチャイズ法は、フランチャイズ契約書の記載事項について詳細な規定を置いています(対象商品・事業、地域、ロイヤリティその他の報酬、契約期間及び更新等)。

フランチャイズ契約の契約期間は5年以上とされており、正当な理由がある場合を除き解約はできません。また、同法はフランチャイジーの更新請求権やフランチャイザーが更新を拒絶する場合の補償についても定めています。

(4) 年次報告書の提出

フランチャイザーは、フランチャイズ事業の各会計年度の年度末から6カ月以内に、所定の形式でフランチャイズ登録官に報告書を提出する必要があります。

(5) 2020年フランチャイズ改正法

 2020年3月6日に2020年フランチャイズ改正法(Franchise (Amendment) Act 2020)が公布されました。以下で、改正法の中でも重要な規制を紹介いたします。

1 外国人フランチャイザーの登録

 現行法6条は、フランチャイザーは、そのフランチャイズ事業の運営・販売申出に先立ち、フランチャイズの登録を行わなければならないものとしており、同現行法54条は、マレーシア国内で又はマレーシア国民にフランチャイズを販売しようとする外国籍の者(以下「外国人フランチャイザー」という。)は、あらかじめフランチャイズ登録局に申請をし、承認を得なければならない旨を定めています。

 外国人フランチャイザーが同法54条に基づく承認の取得のほかに同法6条に基づく登録をする必要があるか否かについては現行法上不明確であり、運用上登録は不要とされてきましたが、改正法は6条を改め外国人フランチャイザーについても6条に基づく登録が必要である旨を明示しました。そのため、改正法施行後は、外国人フランチャイザーは同法54条に基づく承認の取得のほか、同法6条に基づく登録を行う必要があります。

2 登録期間及び更新

 現行法は、フランチャイズ登録局による取消等が行われない限り、フランチャイズの登録は存続するものと定めています。これに対して、改正法は、登録は規則で定められた期間のみ有効とし、登録の継続を希望する者は有効期間の満了日から30日以内に更新の申請をしなければならない旨を定めています。

3 登録証の掲示

また、改正法は、フランチャイザー、フランチャイジー、フランチャイズブローカー、フランチャイズコンサルタントは、事業所の見えやすい場所に登録証を掲示しなければならない旨を定めています。