著作権法(Copy Right Act, 2000)は2000年に制定され(2005年に一部改正)、同法により、執行機関として「著作権局」が設置されました。2006年に著作権法規則が制定され、著作権の登録、利用許諾や各種申請に関する手数料及び様式が規定されるほか、著作権委員会の任期、著作権団体の登録や監査について定めています。
著作権の管轄機関としては、著作権法を執行する著作権局のほか、手続き等を規定する著作権委員会が設置されています(著作権法9条、11条、12条)。
(1) 著作権の範囲
著作権は、以下の種類の著作物に対してバングラデシュ全域に及ぶものとすると規定されていますが(著作権法15条(1))、著作物の発行日又は作成期間に、著作者がバングラデシュに居住していたか、バングラデシュ国民であるか等の一定の要件が定められています(同条(2)(3))。
1 創作的な文学、演劇、音楽及び美術著作物
2 映画フィルム、ならびに
3 録音物
(2) 著作権の登録
著作物の著作者が最初の著作権者になると規定されていますが(著作権法17条)、当事者の同意に従います。合意がない場合、新聞等の定期刊行物については、業務又は徒弟契約に基づく著作者の雇用の過程において作成された著作物の場合は、定められた目的の範囲内に限り、経営者が最初の著作権者となりますが、その他全てに関しては著作者が最初の著作権者となります(著作権法17条(a))。また、依頼により有償の対価をもって撮影された写真、描かれた絵画もしくは肖像画、又は作成された版画もしくは映画フィルムの場合には、当該依頼者がその最初の著作権者となります(同条(b))。政府著作物の場合や、公共事業体により又はその指示や管理の下に作成、発行された著作物の場合には、政府又は公共事業体がその最初の著作権者となります(同条(e)(f))。また、コンピュータプログラムの場合は、プログラムを作成することを任命された者又は機関がその最初の著作権者となります(同条(h))。その他、国際著作権の規定が適用される著作物の場合には、これに関連する国際機関がその最初の著作権者となります(同条(g))。
著作権は、登録官に登録を申請することができ、著作権者は、その権利を譲渡(著作権法18条(1))又は利用許諾(著作権法48条)をすることができます。著作権は発行年又は著作者の死亡年の翌年から60年間有効です(著作権法24条、26条~32条)。
(3) 著作権の侵害に対する救済措置
著作権侵害に対して、差し止め命令、損害賠償、利益分配その他法が認める救済を受けることができます(著作権法76条(1))。また、著作権法に罰則規定が定められており、4年以下の拘禁及若しくは50万タカ以下の罰金、又はその両方が科せられます(著作権法82条~88条)。
(4) 国際条約
バングラデシュが加盟している主な知的財産権関連の条約として、(1) 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約、(2) 工業所有権の保護に関するパリ条約、(3) WIPO設立条約、(4) 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)が挙げられます。