タイにおいては、労働者保護法(Labour Protection Act B.E.2541 以下、「法」といいます)にて、休日・休暇に関する定めがなされています。
(1) 休日
法上、週休日、祝日及び年次休暇日が、休日と定められています。
- 週休日
週休日は、原則として1週間に1日以上付与する必要があります。また、週休日と次の週休日との間隔は、6日以内である必要があります。
2. 祝日
祝日は、国民労働者の日(5月1日)を含め、年間13日以上を定め、事前に従業員に対して周知する必要があります。祝日と週休日が重複した場合、その翌労働日に、祝日の振替休日を付与する必要があります。
3. 年次休暇日
年次休暇は、満1年以上継続して勤務した労働者に対して、年間6労働日以上を付与する必要があります。法上、会社と従業員は、その年に使用しなかった年次休暇を翌年に繰越すことについて事前に合意することができると定められていますが、未使用の年次休暇の繰越し、買取りについては会社の義務とはなっていません。
4. 休日労働
会社は、業務の内容又は性質上、継続して作業を行う必要があり、作業を中断すると損害が生じる可能性がある場合、又は緊急の作業である場合を除き、従業員に休日労働をさせてはならないとされています(ホテル業、運送業、飲食業、医療機関、その他省令で定められた事業においては休日に労働させることは可能とされています)。ただし、 時間外・休日労働の合計時間は、週 36時間を超えてはならないとされています。
5. 休日労働手当
休日に賃金を受領する権利を有する従業員に、休日労働をさせた場合、会社は従業員に対して、労働日の時間当たりの賃金の1倍以上の休日労働手当を支払う必要があります。
休日に賃金を受領する権利を有しない従業員に、休日労働をさせた場合には、労働日の時間当たりの賃金の2倍以上の休日労働手当を支払う必要があります。
6. 休日時間外労働手当
休日の労働時間外に、従業員に休日時間外労働をさせた場合、会社は従業員に対して、労働日の時間当たりの賃金の3倍以上の休日時間外労働手当を支払う必要があります。
(2) 休暇
法上、従業員は以下の各休暇を取得することができると定められています。法に定めのない休暇日を会社が独自に設定することもでき、出家休暇等を定める会社もみられます。
- 病気休暇
従業員は、病気である場合には、病気休暇を取得することができます。しかし、3労働日以上連続で病気休暇を取得する場合には、会社は従業員に対して、第1級医師免許を有する医師又は公立病院による診断書の提出を求めることができます。会社は、年間30日までは、病気休暇に対して労働日の賃金と同額の賃金を従業員に支払う必要があります。
2. 不妊手術休暇
従業員は、第1級医師免許を有する医師が定める期間について、不妊手術のための休暇を取得することができます。会社は、当該期間に対して労働日の賃金と同額の賃金を従業員に支払う必要があります。
3. 用事休暇
従業員は、就業規則に基づき、年間3日以上、必要な用事のための用事休暇を取得することができます。会社は、年間3日までは、用事休暇に対して労働日の賃金と同額の賃金を従業員に支払う必要があります。従前は、用事休暇の日数について、法上定められていませんでしたが、2019年の法改正により、年間3日以上の取得が認められました。
4. 兵役休暇
従業員は、兵役に関する法律に基づく、検査、軍事訓練又は招集のために、兵役休暇を取得することができます。会社は、年間60日までは、兵役休暇に対して労働日の賃金と同額の賃金を従業員に支払う必要があります。
5. 研修休暇
従業員は、労働省令で定める規則、手続きに基づき、研修又は技能開発のための、研修休暇を取得することができます。この休暇に対して、会社は労働日の賃金と同額の賃金を従業員に支払う義務はありません。
6. 出産休暇
従業員は、1回の出産につき、98日まで(休暇期間中の休日も含む)出産休暇を取得することができます(同法改正により、従前の90日から98日まで延長されました)。この出産休暇には、出産前の検査のための休暇も含まれます。会社は、年間45日までは、出産休暇に対して労働日の賃金と同額の賃金を従業員に支払う必要があります。詳細は、TNY Group Newsletter No.10をご参照ください。