バングラデシュでは、労働法にて、休日・休暇について規定されていますが、同法で保護の対象とされている「労働者」に、管理職レベルの従業員は含まれないとされています。
(1) 週休
店舗や商業施設、工業施設の労働者は週に1.5日、工場の労働者は週に1日、週休を取得する権利が与えられています。いずれも、週休に対して賃金から控除することはできません(労働法第103条)。事情により週休が取得できない場合は、3日以内に他の日に代替して取得させなければならず(労働法第104条、労働規則第101条)、週休をとらずに連続して10日以上の労働をさせることはできません(労働規則第101条)。なお、バングラデシュでは、政府機関や銀行を含め、一般的な週休は金曜日及び土曜日です。
(2) 休暇
労働法では、法定休暇として、年次有給休暇、臨時休暇、病気休暇、祝祭休暇のほか産前産後休業が定められています。
1 年次有給休暇
1年間継続勤務した労働者に対し、翌年から、直近12か月の勤務日数を基本に、店舗、商業施設、工業施設、工場、道路交通施設の労働者は、18日の勤務日数ごとに1日有給休暇が与えられます(労働法第117条(1))。年次有給休暇の間に週休や祝祭日があたる場合は、これらの休日も年次有給休暇に含まれます(同条(3))。労働者が12か月以内に有給休暇を消化しなかった場合は、翌年に繰り越すことができますが(同条(4))、有給休暇が一定の日数に達した場合は、それ以上取得することはできません。年次有給休暇取得の条件である勤務期間について、次の理由で勤務が中断された場合も、継続勤務期間とみなされます。
a) 週休や祝日、b) 有給休暇、c) 病気又は事故による有給又は無給の休暇、d) 16週を超えない産休、e) 一時解雇期間、f) 合法ストライキ又は違法なロックアウト(同条(8))。
労働者が未消化の年次有給休暇の換金を希望した場合、年に1回まで、全年次有給休暇の半分まで換金ができます(労働規則第107条(2))。労働者が死亡した場合、未消化の休暇分の賃金は、指定又は法定の受取人に支払われます(同条(3))。
2 臨時休暇
年間10日の有給の臨時休暇が認められており、翌年に繰り越すことはできません(労働法第115条)。年の途中で採用された労働者は、勤務期間の割合に応じた日数を臨時休暇として取得することができます(労働規則第106条)。
3 病気休暇
新聞労働者を除き、全ての労働者は年間14日の有給の病気休暇が認められています。病気休暇の取得にあたり、使用者が指定した医師による診断が必要で、診断書に記載されている療養に必要な期間の休暇を取得することができます。病気休暇は翌年に繰り越すことはできません(労働法第116条)。また、臨時休暇と同様に、年の途中で採用された労働者は、割合に応じた日数を病気休暇として取得することができます(労働規則第106条)。
4 祝祭休暇
年間11日の有給の祝祭休暇が認められており、祝祭休暇に勤務する場合は、2日の補償休暇及び代休が与えられなければならないとされています(労働法第118条)。使用者は、団体交渉代理人と協議のうえ、毎年12月31日までに翌年の祝祭休暇(11日以上)を決定しなければなりません。団体交渉代理人が存在しない場合は参加委員会と協議し、同委員会が存在しない場合は、労働者と可能な限り協議し、使用者が祝祭休暇を決定しなければなりません(労働規則第110条)。
5 産休
労働法にて、産前産後8 週間ずつの産休が定められています(労働法第47 条(3))。詳細は、TNY Group Newsletter No.10をご参照ください。
⑥ 未消化の年次有給休暇の扱い
退職又は解雇で雇用が終了した労働者で、利用していない年次有給休暇がある場合は、相当する賃金が支払われます(労働法第11条)。