メキシコでは、休日及び休暇は、連邦労働法上に規定されるため、以下、その内容を紹介します。なお妊娠した女性が取得できる産前産後各6週間の休暇については、TNY Group Newsletter No.10において解説していますので、そちらをご参照ください。
(1) 休日
労働者は、6日の勤務毎に、少なくとも1日の休日を享受できます。労働者と使用者は、合意により、週休日を定めなければならず、また、労働者は、この週休日に労務を提供する義務を負いません。この規定に違反した場合、使用者は労働者に対し、通常の賃金のほか、賃金の2倍の額の手当を支払わなければなりません。
なお、法定の週休日は日曜日と定められています。日曜日に勤務する労働者は、通常の労働日の給与に加え、少なくとも25%の追加割増賃金を受ける権利を有します。
義務的な休日(いわゆる祝日)は、1月1日(新年)、2月の第1月曜日(憲法記念日)、3月の第3月曜日(ベニートフアレス生誕日)、5月1日(メーデー)、9月16日(独立記念日)、11月の第3月曜日(革命記念日)、大統領の任期の6年ごとの12月1日、12月25日(クリスマス)、連邦及び地方選挙の選挙投票日と定められています。義務的な休日には労働の義務がありません。しかし、労働者を働かせる必要がある場合には、労働者及び使用者は、その役務を提供する労働者の数を定めなければならないとされています。また、この日に働く労働者は、労務を提供する義務があり、通常の賃金のほか、賃金の2倍の額の手当を支払われる権利を有します。
(2) 有給休暇
勤続年数が1年以上の労働者は、有給休暇取得の権利を得ます。この有給休暇は6労働日未満であってはならず、その後の勤続年数ごとに2日ずつ増加し、勤続5年以降は5年ごとに2日が追加されます。なお、季節的な労働者は、年間の労働日数に比例して、有給休暇を得る権利を有します。労働者は、有給休暇を取得すると、有給休暇手当として賃金の25%以上の額の手当を受け取る権利を有します。
有給休暇は、労働者の1年間の勤務が経過した日から、6ヶ月以内に行使する機会を与えなければなりません。使用者は毎年、労働者の勤続年数とそれに基づく休暇日数、その取得(推奨)日を記載した証明書を労働者に交付するものとされています。
(3) 癌と診断された子どものための休暇
癌と診断された16歳までの子の父親又は母親は、その子が療養や入院を必要とする場合には、治療を担当する医師の指示に従って、治療に付き添うことを目的として、休暇を受ける権利を有します。これに該当する場合は、社会保障法(Ley del Seguro Social)の定めるところにより、社会保険庁が発行する証書を以て、休暇を取得することができます。証書の有効期間は最大28日間であり、合計364日を超えない範囲で最大3年間申請することができます。なお、使用者は、この休暇取得中の労働者に対して給与を支払う義務はなく、労働者にとっては無給の休暇となりますが、一定の条件を満たす労働者は社会保険の受給が可能です。
(4) 制裁
6日の勤務毎の1日の休日、勤続1年以上の労働者が有する有給休暇取得の権利及び季節労働者の有給休暇取得の権利に関する規定の違反の場合には、UMA(罰金や制裁金、社会保障費の支払い額など様々に使用される単位)の50から250倍の過料が定められています。