【マレーシアの株式譲渡手続の概要 】

マレーシアにおける株式譲渡は、会社法(Companies Act 2016)によって規定されています。

(1) 譲渡制限

 非公開会社においては、株式の譲渡は制限されています(42条(3))。しかし、同項は、非公開会社は株式の譲渡を制限しなければならないとの規定を置くのみであり、制限の内容(譲渡の承認を行う機関)について具体的な規定を置いていません。

 そのため、株式譲渡の条件・手続については、定款で規定する必要があることになます。

 マレーシアの非公開会社においては、定款が株式譲渡の要件・手続について具体的な規定を置いていないことがあり、このような場合には株式を取得する際に必要な手続や満たすべき要件が不明確となり後の紛争の要因になることもあります。小規模な会社で、大多数の株主(このような場合、株主が取締役も兼ねていると思われます)の同意が取得できる場合には、株主総会決議や取締役会決議を得ることでリスクを回避できる場合が多くあります。決議が取得できないような事情が存在する場合には、後日発生しうるリスクについて慎重に検討する必要があります。

 マレーシアの研究者や弁護士が執筆した文献においては、譲渡制限の例として、以下のものが挙げられています。

  1. 株主が株式の譲渡を希望する場合、最初に既存の株主に申込をしなければならない。
  2. 株式譲渡については、取締役(又は株主)の決定に従う。
  3. 株式の譲渡は、特定の者(創業者等)にのみ行うことができる。
  4. 株式譲渡の方式
  5. 株式を譲渡する場合、譲渡証書を作成し、法令に従った印紙税を納めた上で会社に提出する必要があります(105条(1))。また、株券が発行されている場合は、株券も一緒に提出しなければなりません(98条(2))。