【タイにおける仲裁制度の概要】

(1) 仲裁機関

タイの主要な仲裁機関として、以下が挙げられます。以下の仲裁機関以外にも、知的財産等、専門分野を取り扱う仲裁機関も存在します。

  1. The Thai Arbitration Institute (TAI)

仲裁法および仲裁機関に関する司法府規則に基づく仲裁機関。1990年設立。

     2. Thailand Arbitration Centre (THAC)

仲裁機関法に基づいて2007年に設立された非政府組織。国際仲裁制度を支援、促進し、国際的な紛争解決基準を満たすことを目的としている。

(2) 仲裁合意

仲裁合意については、原則、書面にて当事者により署名がなされている必要があります。契約書等の別様式にて規定することが可能です。

(3) 仲裁手続きの主な流れ(TAI)

  1. 当事者は、仲裁合意を行う。
  2. 申立人は、申立書を仲裁機関に提出し、仲裁機関は申立書の写しを被申立人に送付する。
  3. 被申立人は、申立書の写しを受領した日から15日以内に、答弁書を提出する。
  4. 当事者は、仲裁廷を指名する。
  5. 仲裁廷及び当事者は、180 日を超えない範囲で、手続に関するタイムテーブルを設定する。
  6. 審理
  7. 仲裁廷が手続終了を宣言した日又は最終弁論書類の提出期限から 30 日以内に裁定が行われる。
  8. 仲裁機関は、裁定を当事者に送付する。
  9. 当事者が裁定を受領した時点で、裁定は確定する。

(4) 国際仲裁

 タイは1959年12月21日から、ニューヨーク条約の加盟国となっています。したがって、例えば、同条約加盟国での仲裁判断に基づき、タイにおいて強制執行をすることが可能です。