【タイにおける取締役に関する法規制の概要 】

(1) 取締役の要件

取締役の人数は、非公開会社では、1名以上であれば良く(民商法典1144条)、国籍や居住要件は設けられておりません。一方で、公開会社では、5名以上の取締役が必要とされ、うち半数以上がタイ国内に居住地を有している者でなければなりません(公開株式会社法67条)。また、取締役は、自然人でかつ以下の資格要件を満たす必要があります(同法68条)。

(a)権利能力者である

(b)破産者、制限行為能力者ではない

(c)財産犯に対する確定判決により懲役刑に処せられていない

(d)公務における汚職行為を理由として官公庁、政府機関から罷免された、または解任されたことがない

(2) 権限及び義務

取締役の権限は、定款等によって設定することができます(民商法典1144条)。

取締役は、善管注意義務、株主に資本金の払い込みを遂行させる義務、法律で定められた会計帳簿及び文書を作成・管理する義務、法律で定められた配当・利子を適正に分配する義務、株主総会決議を適正に執行する義務、競業避止義務(該当する業務を行う場合には、株主総会の承認が必要)を負うことが定められています(民商法典1168条)。

(3) 解任

非公開会社では、株主総会の普通決議によって取締役を解任することができます(同法1151条)。公開会社では、株主総会の特別決議(総会に出席し、かつ、議決権を有する株主の四分の三以上及び総株式数の半数以上)によって取締役を解任することができます(公開株式会社法76条)。