【ベトナムの監査役等の設置条件と監査役等の資格や権限 】

(1) 有限責任会社の監査役

 日系企業がベトナム設立する現地法人の多くは1人社員有限責任会社又は2人以上社員有限責任会社ですが、いずれの形式であっても監査役を設置する義務はありません(2020年に企業法が改正される前は、社員が11名以上の有限責任会社については監査役・監査役会の設置が義務付けられていましたが、改正により撤廃されました。)。

 但し、国営企業が会社所有者である1名有限責任会社、国家が定款資本若しくは議決権の50%を超えて有する2名以上社員有限責任会社、又は国営企業の子会社である2名以上社員有限責任会社については、監査役・監査役会の設置が義務付けられています。

(2) 株式会社の監査役

 株式会社の場合、株主数が11名未満であり、かつ、各株主の保有株式数が会社の株式総数の50%未満である場合、監査役・監査役会の設置は任意とされています。その他の場合、監査役を選任して監査役会を設置するか、取締役の20%以上を独立取締役(会社と一定の関係を有しない取締役)とし、かつ、取締役会に直属する会計監査委員会を設置しなければならないとされています。

 監査役会を設置する場合、監査役の人数は3名から5名とし、任期は5年を超えない範囲とされています(再任は可能)。また、監査役会の過半数はベトナムに常駐している監査役でなければならず、監査役会の長は、経済、財政、会計、監査、法律、企業管理の専門又は企業の経営活動と関連する専門の中の1つに属する大学以上を卒業していなければならないとされています。

 一方、会計監査委員会を設置する場合、構成員は2名以上とし、会計監査委員会の会長は独立取締役(一定の要件を満たし、就任前に会社と密接な関係を有していない取締役)でなければならず、また、会長以外の構成員は、非常勤の取締役会の構成員でなければならないとされています。