消費者権利保護法の概要
ベトナムでは、消費者の権利を保護する基本法として、2020年に消費者権利保護法(59/2010/QH12)が制定され、2021年7月から施行されています。この法律の特徴として、次のような条項が置かれていることが挙げられます。
- 消費者とは、消費・生活目的で商品・サービスを購入・利用する「個人・家族・組織」であると定義され、保護の対象は個人に限定さない(3条1.)
- 消費者の権利保護は政府及び社会全体の共同責任であるとされている(4条1.)
- 消費者が取引、商品・サービスの購入・利用をする際の消費者の情報(消費者情報)が保護され、事業者は、消費者情報の収集・使用目的を事前に明確に通知しなければならず、目的外利用が禁止され、消費者情報保護の安全性や正確性の確保義務が課されているなどしている(6条)
- 消費者と書面で契約をする場合、明確で分かりやすい契約書を作成しなければならない(14条2.)
- 紛争が起こった場合において契約書の内容の解釈に争いがあるときは、消費者を優先して解釈される(15条)
- 契約書の条項のうち、消費者側に不利となる一定の条項については無効となる(16条)
- 欠陥商品を製造・輸入した業者は、欠陥商品の流通を停止させるためにあらゆる可能な限りの方法を即時に実施しなければならず、回収していることを、最低限、新聞において連続5回、ラジオ・放送局において5日連続で公告しなければならない(22条)
- 消費者が原告、消費者へ商品・サービスを直接提供した事業者が被告となる民事訴訟で、事件の状況が単純明快で証拠が明確であり、取引価格が1億ドン以下のときは、簡易迅速な手続で処理される(41条)
- 消費者は、民事訴訟において事業者側の過失を証明する義務がなく、事業者側は、自らが消費者に損害を与えていないことを証明する義務がある(42条)
なお、消費者権利保護法が施行されて10年以上が経過し、その間、電子商取引の利用が拡大するなど消費者が当事者となる取引の環境は大きく変化しています。そこで、現在、消費者権利保護法の改正が検討されています。改正法の成立や施行時期は未定ですが、消費者保護に関する事業者の責任が厳格化されたり、事業者による禁止行為が拡大されるなどの改正が予定されており(日本でも規制が議論されているステマ(ステルスマーケティング)に関する規制も盛り込まれる予定です。)、今後の動向に注意する必要があります。