(1) 社会保障法の加入対象
2012年に新たな社会保障法(The Social Security Law, 2012)が制定されました。同法は2014年4月1日に施行され、同月2日に施行細則が制定されました。施設において5名以上の労働者を雇用している会社は社会保障制度に加入しなければなりません。強制加入の対象外の業種は非営利組織等に限定されており、使用者の家族以外の労働者は原則として社会保障制度の強制加入の対象となります。日本と同様に、強制加入義務のない業種の使用者及び労働者であっても、任意に社会保保障制度に加入することは可能です。
(2) 社会保障料
社会保障に関する使用者及び労働者の社会保障料は以下のとおりであり、いずれの負担率も対象労働者の月給に基づきます。但し、現在は月給の上限を30万チャットとして運用されており、30万チャット以上の月給労働者は一律30万チャットを基準として社会保障料の計算がなされることとなります。
基金の種類 | 負担率 | |
① | 健康及び社会医療基金 | 加入時に労働者の年齢が60歳以内の場合:使用者:2%、労働者:2% 加入時に労働者の年齢が60歳を超えている場合:使用者:2.5%、労働者:2.5% |
② | 障害給付、老齢年金、遺族給付基金 | 使用者:3%、労働者:3% |
③ | 失業給付金基金 | 使用者:1%、労働者:1% |
④ | 社会保障住宅基金 | 労働者:25%以上 |
⑤ | 労災保険基金 | 使用者:1% |
使用者は、労働者が負担する社会保障料を労働者の給与から控除し、使用者が負担する社会保障料とともに、社会保障事務所に対して支払わなければなりません。上記のうち、②乃至④については、現時点においては運用されていません。
支払期限について、使用者は、当該月の終了後15日以内に負担を支払わなければなりません。支払を遅延した場合、使用者は、保障料の10%(継続して保障料を支払わなかった場合には、未払い保障料総額の10%)を制裁金として支払わなければなりません。
(3) 使用者の義務
使用者は、社会保障料や給付金の支払記録を、規定に従って保管しなければなりません。また、使用者は、規定に従い、①労働者の出勤記録、②新規雇用者、労働者の労務の変更、雇用の停止・退職・解雇、③報酬の増額及び支払、④労働者、支配人、代表者及びそれらの変更についての記録を正確に保管し、所定のタウンシップ社会保障事務所に提出しなければなりません。当該届出は、いずれも各事由が生じた日から10日以内に行う必要があります。
(4) 社会保障の内容
社会保障制度の内容としては、主に①健康社会医療制度、②障害給付、老齢退職年金、遺族年金保険制度、③失業保険制度、④労災保険が存在します。なお、労災保険に加入している労働者は社会保障法のみ適用され、労働者災害補償法は適用されません。