「タイの社会保障に関する法制度の概要」

(1) 社会保障法に基づく被保険者

タイでは、社会保障を規定する法令として、社会保障法(Social Security Act B.E. 2533 (1990))があります。

同法に基づき、15歳以上60歳未満の被雇用者は被保険者として、社会保障制度の強制加入の対象となります。また、60歳に達した後も引き続き被雇用者である場合は被保険者となります(社会保障法33条)。なお、この被保険者は外国人も対象となります。また、同法33条に基づく被保険者が被雇用者ではなくなり被保険者の資格を喪失した場合でも、12か月以上保険料を納付している者は、被保険者の資格喪失日(退職日)から6か月以内に社会保障事務所において手続きを行うことにより引き続き被保険者となることができます(同法39条)。

さらに、同法33条に基づく被雇用者でない者であっても、社会保障事務所において手続きを行うことにより被保険者となることができます(同法40条)。

(2) 社会保障料

社会保障料は、毎月の給与を基準として算出され、以下のとおり被保険者本人、使用者および政府がそれぞれ負担します。基準となる給与額は最低1,650バーツから最高15,000バーツで、現在は被保険者本人及び使用者の保険料負担率が5%となっています。

 なお、新型コロナの影響による生活費の上昇に対応するため、2022年10月から同年12月までの期間について、本人および使用者の負担率がそれぞれ3%(保険料は450バーツ未満)となっています。

(3) 使用者の義務

15歳以上60歳未満の被雇用者が1人以上いる会社は、被雇用者が被保険者となった日から30日以内に、定められた様式による申請書を社会保障事務所に提出しなければなりません(同法34条)。

また、提出した内容に関する事実に変更があった場合には、使用者は変更があった月の翌月の15日までに書面により申請しなければなりません(同法44条)。

使用者は、賃金の支払いごとに被保険者の負担分の保険料を控除し、被保険者および使用者の負担分を翌月の15日までに社会保障事務所に支払わなければなりません(同法47条)。

(4) 社会保障の内容

社会保障制度の内容としては、①傷病手当(injury or sickness benefits)、②出産手当(maternity benefits)、③障害給付(invalidity benefits)、④死亡給付(death benefits)、⑤児童手当(child benefits)、⑥老齢給付(old-age benefits)、⑦失業手当(unemployment benefits)があります(同法54条)。

給付内容保険料負担率
 本人使用者政府
傷病、障害、出産、死亡に関する給付1.51.51.5
児童手当、老齢給付に関する給付331
失業に関する給付0.50.50.25
(合計)552.75