- フィリピンにおける社会保障制度の概要
フィリピンにおいては、通称「Philhealth (フィルヘルス)」と呼ばれる政府機関において提供される国民皆保険制度が存在します。また、民間企業の全従業員と自営業者を対象とした保険制度として社会保障制度(SSS)が整えられており、公務員にあたるフィリピン政府職員のための社会保険制度として政府職員保険制度(GSIS)が存在します。
- 国民健康保険制度
フィリピンの国民健康保険制度は、Philhealtによって運営されています。共和国法第11223号に基づいて、フィリピンのすべての国民がこの制度を利用することができる仕組みとなっています。
フィリピンにおける国民健康保険制度は、制度を利用するすべての国民に、医療サービスを経済的に利用できる仕組みを提供することを目的としています。また、この制度は、原則として強制加入の制度になっています。
国民健康保険制度の具体的な内容としては、入院医療(部屋代、食事代、医療専門家のサービス、処方薬、生物学的製剤など)に関するサービス、外来医療(診断、検査、診察など)に関するサービス、救急搬送のサービスなどが盛り込まれています。
国民健康保険制度の利用には、登録を行ったうえで保険料を支払う必要があります。保険料を支払う能力のある者、有給で雇用関係にある者、自営業者、専門職、移住労働者などに分類される加入者は、法令において規定された料率に従って保険料を支払うことになります。保険料を支払うことが困難な者については、政府からの援助制度が適用される場合があります。
- 国民年金保険制度
国民年金制度は、民間従業員を対象とする制度(以下「SSS」といいます。)と、公務員を対象とする制度(以下「GSIS」といいます。)の2種類が存在します。
SSSへの加入は、60歳を超えないすべての被雇用者とその雇用者に義務付けられています。また、共同経営者や個人事業主、俳優、監督、脚本家、報道関係者、プロのスポーツ選手、個人農家や漁師などの自営業者にも加入が義務付けられています。一方、家事や育児に専念している労働者の配偶者や別居しているSSS加入者は任意加入とされています。雇用主は、従業員のために、雇用期間中は毎月SSSの制度利用のために拠出金を支払う必要があります。また、一般的に、従業員の月給から保険料を差し引く運用がなされています。SSSが提供する給付は、病気給付、出産給付、障害給付、退職給付、死亡給付、葬儀給付、失業給付の7種類です。
一部の例外を除き、政府から報酬を受けるすべての職員には、GSISへの加入が義務付けられています。
GSISの給付には、生命保険、退職金、その他すべての社会保障給付(障害給付、遺族給付、離職給付、失業給付など)が含まれます。加入者は、政府職員の月給から保険料を差し引かれる運用がなされています。