「バングラデシュの職場の労働安全衛生に関する法制度の概要」

バングラデシュでは、労働法および労働規則にて、職場の労働安全衛生について規定されています。輸出加工区(EPZ)および経済特区(EZ)については、EPZ労働法およびEPZ労働規則が適用されます。

(1) 職場の健康、衛生、安全

(a) 労働法および労働規則

 労働者の健康と衛生を保つため、使用者は職場環境を適切に整えなければならないと規定されています。労働法51条から60条に亘り、清掃、換気、温度調整、粉塵、煙、廃棄物処理、排水処理、清潔な水での加湿、過密の解消、照明、水の供給、トイレと洗面所、ゴミ箱の設置について、使用者がとるべき措置が定められており、労働規則40条から52条にて、具体的な数値などが補足されています。

 また、職場での安全確保のために、労働法61条から78A条に亘り、建物と機械の安全性、火災への対策(避難経路の確保、50人以上労働者を雇用している事業所は6か月に1回以上火災避難訓練を実施しなければならない等)、機械の囲い、動力機械の取り扱い、電力を切るための装置、自動機械、クレーンなどリフト機、巻き上げ機、加圧器、フロアや階段、ピットや汚水槽、目の保護、有害ガスに対する予防措置、爆発または可燃性ガスや粉塵の適切な取り扱いや対応について定められています。労働規則53条から67条にて、具体的な措置が補足されています。事故や特定の疾病が発生した場合は、速やかに検査官へ報告しなければならないと規定されており、労働規則にて、報告書の様式が提供されています。

(b) EPZ労働法およびEPZ労働規則

 EPZ労働法35条では、安全管理のための措置(危険物の取扱、労働者への教育、安全委員会の設置、安全管理簿の保管等)及び健康管理(産業廃棄物の処理、換気や温度管理、危険作業に対する措置等)について定めています。また、2022年9月に制定されたEPZ労働規則では、第4章(39条から105条)に「保健、衛生、安全な職場環境、福祉」について規定しています。45条では、消防機器の管理、48条では男女別のトイレの設置、49条では、飲料水の提供を義務づけています。50条では、全ての事業場において、危険性のある化学物質および機材のリスト、消防機材等を含む安全記録簿を管理し、51条にて、安全委員会の設立が義務づけられています。58条から63条では、事業場の食堂および食料の管理、67条は職場の衛生、91条には、職場で発生した事故について、発生から2日以内に使用者への報告を義務づけています。101条では、女性従業員に従事させてはならない危険性のある業務が特定されています。

(2) 医療サービス

(a) 労働法および労働規則

 事業所は救急箱を備え付け、300人以上の労働者を雇用している場合は医師および看護師を配置した医務室を設置しなければなりません(労働法84条)。また、5,000人以上の労働者を雇用している事業所は、ヘルスセンターを設置しなければならず(労働法89条(6))、労働者の人数ごとに、配置すべき医療従事者の人数やベッド数等の設備について定められています(労働規則78条(1))。労働規則にて、労働者の人数ごとに、事業所が備え付けるべき救急箱の内容を定めており(労働規則76条(1)(2)(3)(4))、医務室に備え付けるべき備品が挙げられています(労働規則77条)。

(b) EPZ労働法およびEPZ労働規則

 EPZ労働法では、各輸出加工区では、医療センターを設置し、入居企業は医療センターの会費を支払わなければならないと定められています(EPZ労働法第37条)。また、EPZ労働規則43条では、事業場の全てのフロアまたは部署に、または150人の労働者に対し、1個の救急箱を設置しなければならないと規定しており、救急箱に備えるべき医療器材が挙げられています。なお、労働者が300人以上の工場では「医療室」をもうけ、医師および1人以上の看護師の配置が義務づけられています。