ベトナムでは、2016年7月から労働安全衛生法が施行されています。以下、同法の概要についてご説明します。
労働安全衛生法は、広く、労働者及び雇用者に適用され、雇用者については業種を問いませんし、労働者については、正規雇用されているものだけでなく、試用期間中や研修期間中であっても、労働者である限り適用対象となります(2条)。
(2) 雇用者の義務(一般的義務)
労働安全衛生法では、一般的な雇用者の義務として、次のとおり規定しています(7条2項)。
- 労働安全衛生確保体制の構築、運用、労災保険の加入
- 労働安全衛生確保に関する訓練、研修会の実施、労働安全衛生確保のための用具整備、健康管理及び職業病検査の実施
- 労働災害発生の恐れがある場合における業務継続や職場復帰の指示の禁止
- 労働安全衛生確保状況をモニタリングする担当者の配置
- 労働安全衛生の事務担当者又は担当部署の設置
- 労災事故の深刻、調査、統計、報告義務
- 労働安全衛生確保の計画、規則、手順、対応策を立案する際の労働組合への意見照会
(3) 雇用者の義務(職場における義務)
職場における労働安全衛生確保に関する雇用者の義務として、次のとおり規定しています(16条)。
- 通気性、微粒子、蒸気、有毒ガス、放射性物質、電磁波、高温、湿度、振動、その他の関連技術基準に定める危険要素、有害要素に関する要件を満たし、かつそれらの項目の定期的な検査・測定
- 機械、設備、材料、物質が労働安全衛生に関する技術基準や標準規格等に則って使用、運転、保持、保管されていること
- 労働者を危険要素、有害要素を持つ業務に従事させる場合、保護具を十分に用意する
- 毎年又は必要に応じて職場における危険要素、有害要素を検査、評価する
- 機械、設備、材料、物質、施設、倉庫を定期的に検査、メンテナンスする
- 職場、保管管理場所、使用場所において、労働安全衛生の要件を満たすための機械、設備、材料、物質について、分かりやすく読みやすい場所にベトナム語による警告、案内表示を掲げる
- 労働者に対し、その業務、職務に関する労働安全衛生の規則、規定等について、周知又は訓練を実施する
- 職場の異常対応、緊急対応計画を作成、制定する
(4) 健康診断実施義務
雇用者は、毎年少なくとも1回、労働者の健康診断を実施しなければならないとされています。重労働、有害、危険な業務を担当する労働者や障害を持つ労働者、未成年労働者、高齢労働者については、半年に1回、健康診断を実施しなければなりません。
(5) 労働安全衛生の事務担当者又は担当部署の主な事務
上記(2)の雇用者の一般的義務として、労働安全衛生の事務担当者又は担当部署の設置が義務付けられていますが、この事務担当者・担当部署の主な事務は次のとおりです。
① 労働安全衛生確保の規定等の構築、年次労働安全衛生計画の作成、労働安全衛生の点検の実施、事 故の調査、その他の労働安全衛生確保に関する事務を実施する
② 労働災害の危険がある場合、緊急時の作業中止や一時的な作業停止を指示し、労働安全衛生の確保に努めるよう製造部門の責任者に要請し、使用者に報告する
③ 安全が確保されていない機械設備、使用期限が経過した機械設備の稼働を停止させる
④ 労働安全衛生業務向上のための訓練、養成研修へ参加する