バングラデシュでは、労働法および労働規則にて、労働災害補償について規定しています。輸出加工区(EPZ)および経済特区(EZ)については、EPZ労働法およびEPZ労働規則が適用されます。
(1) 労災の対象範囲
全ての一般労働者が対象となる日本の労災補償制度と異なり、バングラデシュでは、労災の対象となる労働者が限定されており、鉄道法3条に定義されている鉄道員又は労働法/EPZ労働法別表4に列挙されている業務に従事する者で、一般的なサービス業の労働者や事務員は含まれていません。労災補償の対象となる31項目(EPZ労働法では11項目)の職種は、a) 5人以上が雇用されている職場で、蒸気、水または他の機械的動力または電力が使用される製造工程、付随する業務、製造工程に関する業務に従事する者(製造工程が行われていない場所で事務作業のみに従事しているものは除く)、b) 5人以上が雇用されている職場で、建物または敷地内で、物品の使用、輸送または販売のために、製造、改造、修理、装飾、仕上げ、改良する業務に従事する者、c) 10人以上が雇用されている職場で、爆発物の製造または取扱いに従事している者、d) 建物等の建設、保守、修理または取り壊しに従事する者、e) 運転手、f) 倉庫で雇用されている又は10人以上雇用されている倉庫もしくはその他の場所で勤務している者、又は、100人以上が雇用されている市場もしくは場所で物品の取り扱いもしくは輸送に従事している者、g) 警備員、などが挙げられています(労働法150条(8)、EPZ労働法73条(8))。
労災補償の対象となる職種の労働者が、勤務中に生じた事故により、身体を負傷した場合、以下の場合を除き、使用者は補償金を支払う義務があります(労働法第150条(1)(2))(EPZ労働法第73条(1)(2))。
- 負傷による全体または部分的な労働能力の損失が3日を超えない場合
- 労働者の飲酒または薬物使用に起因する事故、労働者が安全確保を目的とした明確な指示または規則に故意に従わなかった場合、労働者の安全確保を目的として支給されていることを知りながら、労働者が故意に安全装備を外したり、無視した場合に直接起因する事故による負傷の場合
労働法/EPZ労働法により特定された業務により指定の職業病に罹患、特定された業務に6か月以上継続的に勤務し、指定の職業病に罹患した労働者は、労災とみなされ、使用者が反証しない限り、勤務中に生じたとみなされます(労働法第150条(3))(EPZ労働法第73条(3))。
(2) 補償金額
労働不能の程度に応じた補償金額が定められています。永久一部労働不能について、労働法/EPZ労働法別表1にて、負傷の程度に対する労働不能の割合が記載されています。一時労働不能の場合、労働不能となった日から4日の待機期間後の支払い月の初日に1か月の補償金が支払われ、労働不能の期間または別表5に指定される期間(1年、長期に亘る疾病の場合は2年)の短い方の期間支給されます(労働法151条(1)、EPZ労働法74条(1))。同一の事故により複数の負傷があった場合は、永久全労働不能による補償金額を超えない範囲で増額されます(同条(2))。