- フィリピンにおける労働災害に関する法制度の概要
労働安全衛生法に位置づけられる、共和国法第11058号the Occupational Health and Safety Law(以下「OSH法」といいます。)は、「安全で健康な労働力」に対する国の方針を表した法律になります。2018年8月17日に成立したこの法律は、フィリピン経済特区庁(Philippine Economic Zone Authority)圏内の企業も含むすべての民間企業を対象とした法律です。また、フィリピンにおける労働法は、その規定がOSH法と矛盾しない限り、労働安全衛生が問題となる場面で適用されることがあります。
- OSH法の概要
OSH法においては、労働安全を確保するため、使用者と労働者間の義務及び責任が定められています。OSH法において、一般的に、使用者は、従業員に安全な労働環境を提供する義務があり、労働者は、使用者が課す安全衛生に関する規則等を遵守する義務があります。
2. フィリピンにおける労働災害に関する使用者の義務等
労働者は、使用者の過失、重過失又は悪意の有無に関わらず、業務上生じた障害や死亡に対する補償請求を行うことができるとされています。最高裁判所も、職場で負傷した労働者は、労働法に基づく損害賠償請求ができる旨を判示しています。なお、使用者の過失に起因する労働災害が生じた場合には、民法に基づく訴えを申し立てることができるとされています。労働災害が生じる前に、労働者に安全な労働環境を提供し、万が一事故が発生した場合は、必要に応じて応急処置を行うなどの体制を整えておく必要があります。
3. フィリピンにおける労働災害に関するその他の制度
フィリピンにおいては、労働法に基づき、国家保険基金の制度が存在します。 この国家保険基金は、労働者が、業務に関連した障害の発生や死亡の場面において請求できる補償基金として創設されたものです。民間企業従業員(SSS)及び公共企業体従業員(GSIS)は加入が必須とされており、補償金の請求があった場合は、使用者の労働者に対する賠償金の支払義務が免除される可能性があります 。