(1) 社会保障法及び労働者災害補償法
労働災害に関して、社会保障法(The Social Security Law, 2012)及び労働者災害補償法が規定しています。社会保障に加入している労働者は社会保障法のみ適用され、労働者災害補償法は適用されません(社会保障法49条)。
(2) 社会保障法における労災の内容
社会保障に加入している労働者は、労災時の治療(社会保障法52条(a))、一時的に就労不能となった場合の無料の治療及び労災前4ヶ月の平均賃金の70%の一時就労不能給付(社会保障法55条)を最長12か月間受給できます(社会保障法施行細則180条、181条)。また、永久的に一部障害が生じた場合、障害により失った能力の程度に応じて平均賃金の70%を一定期間受給できます(社会保障法57条、58条)。
労災により死亡した場合、負担金を支払った期間に応じて、指定された遺族に対して給付が支払われます(社会保障法62条)。
(3) 労働者災害補償法の内容
本法は、労働者が就業中に負傷した場合は、使用者が補償しなければならない旨規定しています。具体的には、①死亡した場合、②全面的身体障害になった場合、③永久的部分的身体障害になった場合、④一時的身体障害になった場合、⑤他者の介助が常時必要になった場合、の各補償について規定しています。但し、例外として、負傷の原因が次のような事由に起因する場合には補償義務を負いません。すなわち、(a)負傷時に飲酒、薬物使用により精神喪失状態にあった場合、(b)安全管理の観点から明示的に与えられた業務命令や規則に対し負傷者が故意に従わなかった場合、(c)安全管理のために設けられたことが明らかな予防手段を負傷者が故意に取り除いたり、無視した場合です。なお、労働者が特定の業種において、少なくとも6か月以上継続的に雇用され、その職業に固有の職業病に罹患した場合は、雇用者がその反証を提示できない限り、当該疾患も就業上の負傷の場合と同様の取扱いとなります。
(1)で述べた通り、社会保障法に加入していない労働者の労災についてのみ本法が適用されるため、現在では本法が適用される場面は極めて限られた場面となります。