(1) 関連する法令等
労働災害については、連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)および社会保険法(Ley Seguro Social)に規定されています。基本的には、連邦労働法で規定されている内容について社会保険法にも規定され、社会保険で補償されることになります。
なお、使用者は、労働者を雇用した場合、当該労働者を社会保障に加入させなければなりません。
(2) どのような場合に労働災害としての対応が必要となるか
労働災害(Riesgos de trabajos)とは、業務の過程でまたは業務に関連して発生する事故および疾病をいい、業務上の事故と業務上の疾病に分けらます。
業務上の事故(Accidente de trabajo)とは、業務の過程または業務に関連して突然発生した、即時又は事後の器質的損傷又は機能障害、死亡又は誘拐など第三者の法に反する行為に起因する失踪をいい、事故の発生場所及び時間帯は問われません。労働者が自宅・職場間、職場から他の職場へ直接移動する際に発生した事故は、この業務上の事故に含まれます。
業務上の疾病(Enfermedad de trabajo)とは、労働者がその労務を提供する義務を負う業務または環境において、業務に由来しまたは関連する要因の継続的作用により生じる病的状態をいいます。
以上のような、業務上の事故や業務上の疾病が生じた場合には、労働災害として対応が必要となります。
(3) 労災事故が発生した場合の使用者の義務
使用者は、応急処置を施し、労働者の自宅または病院への移送の手配をする義務を負います。
使用者は、労働災害が発生した場合は、その発生から72時間以内に労働社会保障省(Secretaría del Trabajo y Previsión Social)に書面もしくは電子的方法により届出なければならず、労働災害によって労働者が死亡した場合には、直ちに通知しなければなりません。ただし、当該労働者が社会保障機関に自ら提出した場合はその必要はありません。
また、労働者の死亡や後遺障害に至る労働災害が発生した場合は、各事業所に設置された労働安全衛生委員会はその発生から30日以内に原因の調査を行わなければなりません。
(4) 労働災害が発生した場合の給付
① 労働災害によって生じうる結果
労働災害により生じた結果は以下のように分類され、これに応じた社会保障給付等がなされます。
- 一時的な障害(Incapacidad temporal):能力または適性の喪失により、部分的または全面的に一定期間、仕事をすることができなくなること
- 部分的な後遺障害(Incapacidad permanente parcial):その人の労働能力または適性が低下すること
- 全面的な後遺障害(Incapacidad permanente total):能力または適性を喪失し、終身にわたり一切の業務に従事することができない状態
- 死亡(Muerte)
- 第三者の法に反する行為に起因する失踪(Desaparición derivada de un acto delincuencial)
② 給付の種類
- 療養補償給付:医療・手術の補助、リハビリテーション、入院等のサービス
- 休業補償給付:労働者が一時的な障害を負った場合、補償は、労働不能となってから、当該労働者が就労可能と診断されるか、部分的な後遺障害や全面的な後遺障害と認定されるまでの間、労働者の基準給与(給与額に福利厚生費等を加算し求められる社会保障費等の計算基準給与)の全額分の給付がなされます。
- 障害補償給付:全面的な後遺障害の場合、労働者は、災害発生時の基準給与の70%に相当する額の確定月例年金を受け取ることができます。
部分的な後遺障害の場合も、障害年金を得ることができます。
- 葬儀費用
- 遺族補償年金:死亡又は第三者の法に反する行為に起因する失踪の場合には、寡婦又は寡夫、孤児、尊属等は遺族補償年金を受ける権利を有します。
③ 使用者による補償
使用者は、労働災害により生じた労働者の障害等に対し社会保障による補償を受けさせることができない場合、当該労働者に対し、次の補償を行わなければなりません。
- 一時的な障害:就労不能期間中の賃金相当額の金員
- 部分的な後遺障害:障害が全面的な障害であった場合に支払われるべき金額に基づき、障害評価表で定められた割合の金員
- 全面的な後遺障害:1,095日分の賃金に相当する金員
- 死亡又は失踪:葬式費用(2か月分の給与額)と5000日分の賃金に相当する金員。寡婦又は寡夫、孤児、尊属等がこれを受ける権利を有します。