(1) 証券市場の構造
メキシコには、メキシコ証券取引所(Bolsa Mexicana de Valores)と、証券機関取引所(Bolsa Institucional de Valores)の2つの証券市場が存在します。
メキシコ証券取引所は、ラテンアメリカで2番目に大きな証券市場であり、時価総額は2021年末日時点で9407兆 ペソです。メキシコ証券取引所においては、ボルサ指数(メキシコ証券取引所に上場する代表的な35銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数、Indice de Precios y Cotizaciones (IPC))という指標が用いられています。
証券機関取引所においては、FTSEという指標が用いられています。
(2) 上場基準
上場のためには、株式を国家証券登録所(Registro Nacional de Valores)へ登録する必要があります。この登録のための一定の基準が、有価証券の発行者及びその他の証券市場参加者に適用される一般規定(Disposiciones de Carácter General Aplicables a las Emisoras de Valores y a Otros Participantes del Mercado de Valores)において設けられています。
同規定は、以下のような基準を設けています。
・ 上場にあたっては、1,200万投資単位(2023年2月22日現在1投資単位当たり7.73092ペソ)以上の株式発行。
・ 一般投資家に提供される株式の割合が発行者の株式の15%以上であること、又は9億5000万投資単位以上であること。
・ 募集が行われた時点で、大口一般投資家とみなされる株主等の最低人数は、100人を下回ってはならないこと。
・ コーポレートガバナンス・コードへの準拠度合いについて報告すること。
また、上場する法人はその形態に合わせて、適用を受ける法の規準を満たさなければなりません。
例えば、証券市場法(Ley del Mercado de Valores)に規定される投資促進会社(Sociedades Anónimas Promotoras de Inversión)が上場する場合、次の規準を満たす必要があります。
・ 証券の登録に先立ち、以下について株主総会の承認決議を得ていること。
ⅰ) 既存の商号に 「Bursátil」という表現又はその略称「B」を加える商号の変更。
ⅱ) 国家証券登録所への登録が効力を生じた日から起算して10年を超えない範囲内で、事業年度の末日における当該投資促進公開会社の資本金が、各年、監査済み又は意見書付財務諸表に基づきの2億5,000万投資単位のペソ換算額を超える場合には、公開株式会社の形態を採用すること。
ⅲ) 前ⅱ)の期間内に公開株式会社に適用される制度を段階的に導入することを規定するプログラム。
ⅳ) 資本構成を公開株式会社に適用される制度に適合させるため、及び国家証券登録所への登録の取消の事由及び効果を規定するために必要な定款変更。
これらの事項に関する承認決議に加え、株主総会は、会社を支配している個人又はグループを特定し、その個人又はグループは株主総会議事録に署名して同意を表明すること。
・ 取締役会は、国家証券登録所への登録時に、独立取締役(Consejero Independiente)を1名以上置くこと。
・ 会社は、公開株式会社に設置されているものに準じて、企業実務に関し取締役会を補佐するための委員会を設置すること。当該委員会は、取締役のみで構成され、独立取締役が委員長を務めること。
・ 取締役会の秘書役は、各株主の保有株式数を認証すること。
その他、公開株式会社(Sociedad Anonima Bursátil:SAB)の場合は、経営を担うのは、取締役会(Consejo de Administración)及び社長(Director General)となり、取締役会は、21名以内の取締役で構成し、そのうち25%以上が独立取締役でなければならないと規定されています。
補助的信用機関の組織と活動に関する一般法(Ley General de Organizaciones y Actividades Auxiliares del Crédito)に定める金融機関等も国家証券登録所に株式を登録することにより上場が可能となりますが、証券市場法に基づく株式の登録のほか、国家銀行証券委員会(Comisión Nacional Bancaria y de Valores)の規定や同法の規定を遵守しなければなりません。