日本の証券市場は、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダードとグロース)の各市場に分かれていましたが、2022年4月4日から、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに再編されました。この再編は、各市場のコンセプトが曖昧で、投資家にとっての利便性が低く、上場廃止基準が緩く上場会社の企業価値向上が十分に図られていないことを理由としています。
- 各市場のコンセプト
- プライム市場:多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。
- スタンダード市場:公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。
- グロース市場:高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場。
- 新規上場基準
上場審査にかかる主な形式的要件は、以下の通りです。

(上場維持基準として、※1:平均売買代金2,000万円以上、※2:売買高月平均10単位以上、※3:上場10年後の時価総額40億円以上、※4:純資産額が正)
グロース市場上場のためには、形式的要件に加えて、高い成長可能性を実現する事業計画が合理的に策定されていること、高い成長可能性を有しているとの判断根拠に関する主幹事証券会社の見解が提出されていること、 事業計画及び成長可能性に関する事項(ビジネスモデル、市場規模、競争力の源泉、事業上のリスク等)が適切に開示され、上場後も継続的に進捗状況が開示される見込みがあること、が要件とされています。
6. 経過措置の終了
市場再編にあたっての経過措置として、再編前の上場会社には緩和された基準による市場選択が認められていましたが、2023年1月に、経過措置が2025年3月1日以降に順次終了することが決定されました。
これに伴い、経過措置の適用を受けている会社については、2025年3月1日以降に到来する上場維持基準の判定に関する基準日に本来の上場基準に適合していない場合には、原則として1年間(売買高基準は6か月間)の改善期間に入り、その間に上場基準に適合しないときは、改善期間終了後に監理銘柄に指定され、基準日の翌日から起算して6か月を経過した日(基準日から起算して1年6月後)に上場廃止となります(ただし、経過措置に関する適合計画の終了が2026年3月1日以降最初に到来する基準日以降とされている場合には、監理銘柄の指定期間は同計画終了まで継続し、指定期間中に上場基準に適合しないときは、指定期間終了後1か月の整理銘柄指定を経て、上場廃止となります)。
なお、経過措置を用いたプライム市場上場会社については、2023年4月1日から9月29日までの間に限り、スタンダード市場への上場を選択でき、2023年10月20日にスタンダード市場に移行することが可能となっています。