バングラデシュはコモンローに基づいており、不法行為を規定する特定の法令はありません。不法行為に関して、裁判所の考え方を示した例は多くありませんが、最高裁判所の判例では、「代位責任」と「過失」の2つの要素を示しています。
(1) 代位責任
代位責任(使用者責任)とは、「主従関係」から生じるもので、使用者は、従業員の不法行為によって損害を受けた第三者の損失または損害に対して責任を負います。バス運転手の過失による交通事故の被害者に対して、バス会社の使用者責任を認めた判例があります(Catherine Masud v. Md. Kashed Miah and Others)。
(2) 過失
過失は、注意を払う法的義務の違反であり、被告が、原告を保護する義務に違反したことが前提となります。原告が受けた被害は、被告によって直接的に引き起こされた実際の損害でなければなりません。
判例では、Res Ipsa Loquitur(事実推定則)が適用されています。Res Ipsa Loquiturとは、「事実がすべてを物語っている」ことを意味し、ある種の事故が発生したという事実が、過失を示唆するのに十分であるという考え方です。 原告は、管理者が適切な注意義務を果たしていれば、通常起こるような事故ではないことを立証しなければなりません。Res Ipsa Loquiturに基づき、使用者の過失を認めた判例があります(CCB Foundation v. Government of Bangladesh)。