- フィリピンにおける合併の概要
フィリピンにおける合併は、フィリピンの会社法に準拠して手続が履践されます。大きく分けると2つの合併形態が存在します。一つ目は、吸収合併です。存続会社が対象会社を吸収し、合併します。対象会社の資産や負債を原則として全て引き受けることになります。二つ目は、新設合併です。これは、2社以上の会社が統合され、新たな会社(新設会社)を設立するタイプの合併形態です。新設会社は、原則として対象会社の資産や負債を全て引き受けることになります。
また、フィリピンでは、合併の方法として、対象会社の株式を取得する方法や事業や資産を譲受する方法があります。
選択すべき合併の種類は、各会社の状況によって異なりますので、合併を検討されている会社は、対象企業の規模、対象企業の資産負債状況、規制要件などの要素を考慮して適切な合併形態を選択する必要があります。
- フィリピンにおける合併に必要な手続
フィリピンにおける合併手続において、必要とされる主な手続としては、まず、取締役会決議及び株主総会特別決議(議決権の3分の2の賛成票が必要な決議)を経たうえで、合併計画の承認を得る手続が必要となります。また、この時点で合併に反対である株主については、正当な価格での買取を請求する権利が与えられているため、請求があった場合は買取対応をする必要があります。
さらに、合併に際しては、合併契約を締結する必要があります。その際に、フィリピンにおける証券取引委員会の承認が必要となる場合があるため、適法に締結された合併契約書を同委員会へ提出する手続が発生します。同委員会における承認には、審問が実施される場合もあります。
承認を取得し、必要な手続が全て履践された後、合併はクロージングとなります。これにより、対象会社から存続会社又は新設会社へ資産と負債が継承されます。
- 合併後の取引関係について
最後に、合併後の取引関係について、法的観点から述べます。合併成立後の従業員やサプライヤーとの契約当事者は、存続会社又は新設会社となります。これは、契約関係を含め、対象企業の資産及び負債の全てを存続会社又は新設会社が継承するためです。したがって、事業に必要な取引契約のみならず、従業員との雇用契約や不動産に関する契約についても、存続会社又は新設会社が契約当事者としての地位を承継します。
ただし、合併当事者間において、契約上、合併が生じた場合に契約関係を終了できる条項が存在する可能性に留意する必要があります。これには、合併前にデューデリジェンスを実施し、リスクとして抽出されることが多いため、合併を検討される場合は、対象会社のデューデリジェンスをしっかりと実施することが望ましいといえます。