「マレーシアの合併に関する法制度の概要」

マレーシアでは、ラブアンに設立された会社に適用されるラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)においては吸収合併に関する規定は存在しますが、一般的な会社に適用される会社法(Companies Act 2016)においては合併に関する規定は存在しません。マレーシアにおける会社の組織再編の方法としては、一般的に以下の方法が挙げられます。

– 対象会社の株式取得

– 対象会社の事業譲渡

– 会社法366条に基づくスキーム・オブ・アレンジメント

(1) 株式取得

株式取得の方法としては、公開買付を行う場合及び既存株主から直接株式を取得する株式譲渡を行う場合があります。

株式取得を規制する法令としては、以下の法令等が挙げられます。

– Malaysian Code on Take-Over and Mergers 2016

– Rules on Take-Over and Mergers and Compulsory Acquisition 2016

– Capital Markets and Services Act 2007(CMSA)

 また、マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia Berhad)、マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)、マレーシア証券委員会(Securities Commission Malaysia)、マレーシア会社委員会(Companies Commission of Malaysia)等の機関によって規制されます。

 公開買付は、強制的公開買付及び任意的公開買付に分けられます。強制的公開買付は、一定の要件を満たした場合に実施する義務が生じるものをいい、任意的公開買付は強制的公開買付以外の公開買付をいいます。

 強制的公開買付の義務が生じる要件としては、会社の支配権を獲得した場合(会社の議決権付株式の33%超を取得した場合)、Creeping Thresholdとなった場合(議決権付株式の33%超50%以下を保有しており、かつ6か月間に議決権付株式の2%超を取得した場合)等があります。

 任意的公開買付は、強制的公開買付の要件を満たさない場合において、対象会社の発行済株式を100%取得する際に用いられ、任意的公開買付のうち、対象会社の発行済株式の100%未満を取得する場合には部分的公開買付と呼ばれます。

既存株主から直接株式を取得する株式譲渡を行う場合においても、一般法である会社法及び契約法を遵守する必要があります。

(2) 事業譲渡

 事業譲渡とは、会社の事業の全部又は一部の譲渡を行うことをいい、事業譲渡を行うには、譲渡会社において株主総会の普通決議が必要となります。

(3) スキーム・オブ・アレンジメント

 スキーム・オブ・アレンジメントとは、一般的に会社再建において用いられる制度で、会社法366条に基づいて対象会社が裁判所の許可を得て行う、会社、株主及び債権者間の合意による手続をいいます。