(1) 概要
インドにおいて労働紛争手続は、産業紛争法(The Industrial Disputes Act,1947)に規定しています。労働争議(産業紛争)(Industrial dispute)とは、使用者同士、使用者と労働者(ワークマン)、労働者(ワークマン)同士の間での雇用条件等についての争議をいいます(産業紛争法 2 条)。産業紛争法では、解決手段として調停、仲裁、労働審判、労働裁判を規定しています。
なお、経営や監督を行うポジション等のノンワークマンについては、産業紛争法の労働者には該当せず、同法に基づく紛争解決手続は適用されません。
(2) 仲裁手続について
使用者及び労働者は書面での合意により労働争議を仲裁廷に付託することができます(産業紛争法10A条 1 項)。ただし、労働審判又は労働裁判が申立てられた後は、仲裁を行うことができません。一般的に、労働審判や労働裁判は、労働者側に有利な判断がなされやすいといわれており、使用者側としては、これら審判や裁判を避けるために仲裁を選択することも考えられます。
仲裁人は、仲裁において法律上の問題を労働審判所に付託し当該法律上の問題について判断を得ること
ができ、この場合、仲裁廷は当該労働審判所の判断に従う必要があります(産業紛争法 10E 条)。
(3) 労働審判・労働裁判の申立てについて
労働争議の当事者は、共同又は個別に所定の方法で当該紛争を労働裁判所(Labour Court)、労働審判所(Tribunal)又は全国労働審判所(National Tribunal)に申立てることができます(産業紛争法 10 条 2 項)。労働審判の場合、当事者や事業場等が複数の施設にまたがる場合等は、全国労働審判所が利用されます。 労働裁判は、関係当局によって任命される 1 名の裁判官により構成されます(産業紛争法 7 条 2 項)。労働
審判も関係当局により任命される 1 名の審判官により構成されます(産業紛争法 7A 条 2 項)。
(4) 調停について
産業紛争法では、労働争議の解決手段として調停手続における和解を規定しています。調停委員は、委員長 1 名と関係当局が適当と考える員数 2 名又は 4 名で構成されます(産業紛争 5 条 2 項)。
(5) 調停官・労働審判官・労働裁判官の権限について
調停官、労働審判所の審判官、労働裁判所の裁判官は、労働争議に関する調査のために、合理的な通知を行った後に、当該労働争議が関係する事業場に立ち入ることができます(産業紛争法 11 条2 項)。また、調停官、審判官及び裁判官は、民事訴訟法に基づき文書の提出の強制や証人尋問等を行うことができます(産業紛争法 11 条 3 項)。