「フィリピンの労務紛争解決手段の概要」

(1) フィリピンにおける労務紛争解決手段の概要

フィリピンにおいて使用者と労働者の間で紛争が生じた場合は、まず、フィリピン労働雇用省(Department

of Labor and Employment 以下「DOLE」といいます。)における解決を試み、DOLE において解決できない場合は、フィリピンの裁判所で労働裁判を実施するという流れで解決するのが一般的です。以下では、DOLE 及び裁判所における労務紛争の解決手続きについて解説いたします。

(2) DOLE における紛争解決手続

DOLE は、フィリピンにおける雇用関係について規制や監督を行う官庁組織に位置づけられます。DOLE の主要な役割のひとつとして、労働者保護が挙げられており、フィリピンの労働者が権利侵害を主張する窓口としても機能しています。

DOLE においては、シングルエントリーアプローチ(the Single Entry Approach 以下「SEnA」といいます。)と呼ばれる手続から開始されます。SEnA は、労働問題が本格的な紛争に発展するのを防ぐことを目的として、効率的、迅速、安価、かつアクセスしやすい方法で労働問題を解決する仕組みです。 労働者は、最初に SEnAプログラムの目的と手順について面接を受け、必要なRFAフォームに記入します。フォームが提出された後、シングルエントリーアシスタンスデスクオフィサーと呼ばれる職員(以下「SEADO」といいます。)が、論点を整理します。SEADO は、和解合意を促進するために、必須の 30 日以内に必要な数の会議を開催することができ、この 30 日間の期間は、当事者の相互の合意により最大 7 日間延長することが可能となっています。 SEnAにおいて紛争が解決できなかった場合は、次の手段として、労働仲裁人選任を申し立て、解決を図りま

す。仲裁人は、すでに提出された証拠や当事者の主張に基づいて、決定を下すことができます。

労働仲裁人の決定は、受領から 10 日以内に、全国労働関係委員会(National Labor Relations Commission 以下「NLRC」といいます。)に不服申立てをすることができます。不服申立てを行わない場合は、労働仲裁人の決定が確定し、執行力をもつ場合があります。

(3) 裁判手続による紛争解決

DOLEでの判断に不服がある当事者は、訴訟へ移行して紛争解決を図ります。フィリピンにおける裁判所に対して訴えを提起し、高等裁判所において審理されます。通常の訴訟手続と同様に、不服がある場合は上級

審への申立てを行います。