(1) 労働者該当性
メキシコでは、労使関係を規定する法律として、連邦労働法(Ley Fedral del Trabajo)が挙げられる。連邦労働法によると、労働者(Tranajador)は、「他者(法人か自然人かを問わない)に対して、従属的で個人的な仕事を提供する自然人である。この場合、「仕事」とは、専門職や職種に必要とされる技術的水準に関わらず、人的な、知的な、あるいは肉体的な活動と解される」と定義されています。従って、雇用の形態に関わらず、使用者との間に従属的な関係があり、労働を提供している人は労働者と考えられ、連邦労働法の規定が適用されます。
(2) 労働者の保護
連邦労働法には、雇用期間に関する規定、雇用関係の終了に関する規定、賃金や労働時間、休日や有給休暇などの労働条件に関する規定、労働者の権利や義務に関する規定などが定められており、労働者はこれらの規定に保護されることとなります。
なお、労働者のうち、管理や監査、監督などの職責を担う人や事業所内における使用者自身の業務を担う人は、「信任労働者(trabajador de confianza)」と定義されており、労働組合の組合員になれないなど、一定の制限を受けます。
その他、船員(Trabajadores de los buques)、航空機乗務員(Trabajadores de las tripulaciones aeronáuticas)、鉄道乗務員(Trabajadores ferrocarrileros)、自動車輸送乗務員(Trabajadores de autotransportes)、農・畜・水産業労働者(Trabajadores del campo)、俳優・音楽家(Trabajadores actores y a los músicos)、家事労働者(代行者)(Trabajadoras del hogar)、鉱山労働者(Trabajadores de mina)、ホテル・レストラン・バー等の労働者(Trabajadores en hoteles, restaurantes, bares y otros establecimientos análogos)、専門医科研修中の研修医(Médicos residentes en período de adiestramiento en una especialidad)、テレワーク労働者(Trabajadores bajo la modalidad de teletrabajo)などの労働者に対し、例えば労働時間や休日の取得について柔軟な取得を認める、他の労働者との平等が保てるよう使用者に義務を課すなど、特別な配慮を行う規定が設けられています。
最低賃金についても、専門職62種それぞれに一般最低賃金とは異なる額の最低賃金額が定められています。
(3) 使用者の責任
使用者が自身の労働者に対して、使用者としての責任を負うことは当然ですが、メキシコにおいては、労働者派遣(subcontratación de personal、「自身の労働者を他者の利益のために利用可能とし、もしくは提供すること」)を利用する場合、派遣先企業も、派遣元企業と連帯し責任を負うことと規定されていることから、派遣元企業に不遵守があった場合、派遣先企業は、自身の労働者と同様に派遣労働者に対しても責任を負う場合が生じ得ます。