「メキシコの試用期間に関する各国の法制度」

(1) 概要

無期雇用又は180日以上の雇用期間となる雇用の場合、試用期間(periodo a prueba)や初期研修期間(relación de trabajo para capacitación inicial)を設けることができます。試用期間や初期研修期間を設ける場合、その旨を契約書に記載しなければなりません。また、無期雇用契約において初期研修期間を設けた場合に、使用者は労働者に対して契約期間終了日を通知する義務がないとした裁判所の判断もあり、具体的な期間を明記することが重要です。

(2) 試用期間(periodo a prueba)

180日を超える期間の雇用契約又は期限の定めのない雇用契約の場合に限り、労働者が業務の遂行に必要な要件と知識を要しているかどうかを確認する目的で、30日を超えない範囲で設定することができます。労働者が経営執行機関や管理を行う立場の役職付の場合や、特別な技術者や専門職である場合は、試用期間を180日とすることが可能です。期間終了時に、Comisión Mixtaと呼ばれる委員会の意見を考慮したうえで使用者が、当該労働者が必要な要件や知識を満たしていないと判断した場合は、使用者はその責任を負うことなく、雇用契約を終了させることができます。試用期間終了後も雇用関係が継続する場合は、無期限の雇用とみなされ、当該試用期間は勤務期間に含められることとなります。

(3) 初期研修期間(capacitación inicial)

労働者が業務を遂行するために必要とされる知識や技能等を獲得するため、最長3カ月を初期研修期間として雇用契約を結ぶことができます。なお、労働者が経営執行機関や管理知る立場の役職付の場合や、専門職である場合、この初期研修期間を最大6カ月と設定することが可能です。研修期間終了時、Comisión Mixtaと呼ばれる委員会の意見と職務を考慮したうえで、労働者が必要レベルに達していないと判断される場合は、使用者は責任を負うことなく雇用契約を終了させることができます。初期研修期間終了後も雇用関係が継続する場合は、無期限の雇用とみなされ、当該初期研修期間は勤務期間に含められることとなります。

(4) 留意点

試用期間及び初期研修期間の延長は認めらません。また、同じ労働者に対して連続してこれらを適用したり、併用したり、たとえ職種や担当業務が異なっている場合においても、複数回適用したりすることは禁止されています。

また、試用期間や初期研修期間中であっても、使用者は、当該労働者が享受すべき法定の社会保障の費用を負担しなければなりません。