現行法では、一般労働者については労働法第104条に、公営企業で働く労働者については政令51/2016/ND-CPに、芸術、スポーツ、海上運送、航空輸送分野の労働者については労働法第166条に、それぞれ賞与に関する規定が置かれています。このうち、一般労働者の賞与に関する労働法104条には、
1. 賞与とは、使用者が、労働者に対し、生産・経営の結果、労働者の業務の完遂の程度に 基づき支給する金員、財物その他の形式のものをいう。
2. 賞与規程は、使用者が、基礎レベル労働者代表組織がある場合は基礎レベル労働者代表 組織の意見を参考にしたうえで決定し、職場において公開、周知するものとする。
と規定されています。この規定を前提として、一般労働者の賞与に関しては、次のとおり取り扱われるものとされています。
- 賞与支給義務の有無:法律で使用者に義務付けられているものではありません。
- 賞与規定の要否:賞与を支払うこととする場合、使用者は、どのような方針、基準で支払うかについて文書化し、全労働者に周知する必要があります。但し、「賞与規定」のような特別の規定を作成する必要はなく、例えば、労働契約書に定めることも可能です。
- 賞与の形態:現金だけでなく、会社が製造・加工・生産する製品や商品、有価証券(ESOPプログラム)、買い物券、クーポン券などの現物支給も可能です。
- 賞与支給時期:使用者が決定することができますが、実務上は、 (i) テト休暇の直前に「13か月目の給与」として年に1回支給する場合と、(ii) 賞与の一部を(i)の時期に、残りを第1四半期末に支給する場合が多いです。
- 個人所得税及び社会保険:賞与は、個人所得税(PIT)の課税対象となりますが、各種社会保険料の算定基礎には算入されません。