労働者保護法14/1条は使用者と労働者との間の雇用契約、就業規則等について、裁判所は、公平かつ適切な場合に限って有効とするよう命ずる権限を有する旨を定めています。
また、不公正契約法5条は、職業を営む上での権利・自由等を制限する合意は無効ではないが、権利・自由を制限される者が通常予期される以上の拘束を受ける場合には、正当で適当な部分に限って有効性が認められる旨を定めています。そして同条は、通常予期される以上の拘束といえるかを判断するにあたっての考慮要素として、①権利・自由の制限の場所及び期間の範囲、②権利または自由の制限を受ける者が、他の形で職業に就くまたは契約を締結する能力及び機会を有しているか等を掲げています。
これらのことから、競業避止義務については、その制約が合理的なものにとどまっていなければ無効とされる可能性があります。より具体的には、就業が制限される業務範囲や、制限される業務の地理的範囲・期間が明確で合理的であることや対象者の就業機会が確保されていることが重要です。
どのような内容であれば合理的であるといえるかはケースバイケースですが、最高裁の判例では、競業避止義務が課される期間について、2~5年の期間の有効性が認められた例が見られます。