マレーシアでは、契約法(Contract Act 1950)第28条により、合法的な職業、商取引その他のあらゆる種類のビジネスの行使を拘束する合意については原則として無効であるとされています。
このことから、雇用契約終了後に、従業員に対して競合他社と働くことを禁止する旨の競業避止義務条項についても、同条により無効であると解されています。なお、競業避止義務条項には、会社の事業戦略や営業秘密が競合他社に流出することを防ぐという会社利益保護の要素がありますが、マレーシアでは当該利益については、従業員に対して退職後に会社情報に関する守秘義務を課すことにより、その保護が図られるべきであるという考え方が一般的です。
もっとも、従業員に対して、雇用契約が継続している間の競業避止義務を負わせることは有効であると解されています(Sdn Bhd v Hillary Ang & Ors (collectively known as “The Search”) &Anor [1994] 3 CLJ 806)。