1.競業避止義務の法規制
ミャンマーにおいては、競業避止義務の有効性について明記した法令は存在しません。関連する法令としては、ミャンマーの契約法において、合意の約因又は目的は、法令上に規定する場合を除いて、合法とされる旨の契約自由の原則が規定されています(契約法23条)。合意が無効とされる場合として、「合法的な専門性の行使、取引の実施または事業の運営を制限する合意」が規定されています(契約法27条)。競業避止義務はここで規定されている「合法的な専門性の行使、取引の実施または事業の運営を制限する合意」に該当する可能性があります。なお、競業避止義務の有効性に関する判例等は確認できません。
2. 実務
実務上は、全従業員に対して競業避止義務を課すというのは一般的ではありません。マネージャー等の一定程度会社の守秘情報を知ることができる職位の者に対してのみ課す会社が多いと思われます。また、その場合も、無制限に競業避止義務を課す場合には前述した合意が無効とされる場合に該当する可能性が高いため、期間やエリア等の制限を明確化し、かつ、それに伴う代償措置等を含めて規定することが多いです。