「日本の賃金の支払方法に関する法規制」

(1) 通貨払いの原則

賃金は、「通貨」によって支払わなければなりません(労働基準法24条)。ここにいう「通貨」とは、「通貨の単位及び貨幣の発行に関する法律」に定義されているものをいい、日本円の紙幣(日本銀行券)及び貨幣がこれにあたる一方、外国通貨は含まれません。ただし、「法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払方法で厚生労働省令で定める賃金について確実な支払いの方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い」をすることができると規定されています(同条ただし書き)。

近年、日本では、賃金をデジタルマネー(電子マネー)で支払うことが解禁され、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとしました。

(2) 賃金の支払期間に関する規制

支払時期については、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないことが原則とされています(労働基準法24条2項)。ただし賞与等についてはこの限りではありません。

(3) 賃金の控除に関する規制

賃金は、その全額を支払わなければならないことを原則としています。控除が例外的に認められるのは、所得税や社会保険料などの法令で定められているものや、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者と労使協定を結んでいる場合に限られます(労働基準法24条1項)。