⑴ 配転に関する規制
連邦労働法上、配転を規制する明文上の法令はありません。もっとも、同法では、業務内容や業務実施場所等を明記しなければならない旨が規定されています(25条)。後の紛争を防止するためには、雇用契約書や就業規則内に、配転により就業場所や業務内容に変更がありうる旨を記載しておくことが望ましいです。
⑵ 出向・転籍に関する規制
出向(現在の使用者との労働契約関係を維持したしたまま、他の使用者の業務に従事させること)については、同法12条による規制を受ける可能性があります。
同法は、労働者派遣について、「自身の労働者を他者の利益のために利用可能とし、または提供すること」と示し、原則禁止としています(12条)。
上記の例外として、派遣された労働者が、派遣先企業の事業目的又は主要な経済活動に含まれる業務を行わない場合で、派遣元企業が労働社会保障省への登録を行っている場合には、派遣することも認められています。また、同一企業グループ間で実施される補完的業務の提供についても、この条件が適用されます(12条、13条、15条)。
現在の使用者との労働契約を維持したまま、他の使用者の業務に従事させることは、「自身の労働者を他者のために提供すること」に該当し、同法の規制を受ける可能性があります。