⑴ 裁判制度について
インドの裁判制度は、最高裁判所(Supreme Court)、および最高裁判所の下に位置づけられる裁判所で構成されており、日本と同様に三審制を採用しています。最高裁判所の下には、高等裁判所(High Court)があり(基本的に高等裁判所は各州に設置される)、その下に下級裁判所(Subordinate Court)があります。下級裁判所は、地方裁判所(District Court)と刑事事件のみを取り扱うSessions Courtからなります。
その他、商事事件(INR30万以上の事件)のみを取り扱う商事裁判所や、労働事件のみを取り扱う労働裁判所などの特別な事件のみを取り扱う裁判所があります。
(2) 管轄について
基本的には、被告の住所若しくは被告が事業を営み利益を得る場所、または請求原因が発生した場所に裁判管轄が生じます。もっとも、不動産に関して生じた紛争についての裁判は、当該不動産が所在する管轄区域内の裁判所に提起されなければなりません。
(3) 準司法機関について
他にも準司法機関である会社法審判所(NCLT : National Company Law Tribunal)、労働審判所(Industrial Tribunal)、直接税審判所(ITAT : Income Tax Appellate Tribunal)、間接税審判所(CESTAT : Customs Excise and Service Tax Appellate Tribunal)等があります。これらの準司法機関である審判所は、事件の性質により使い分けられ、例えば会社法に関する紛争であれば会社法審判所が利用されることになります。
準司法機関の判断に対する不服申立てとして高等裁判所への上訴が認められます。