⑴ 新株発行について
新株発行を行うためには、株主総会の特別総会での決議が必要となります(会社法182条)。特別総会では、資本金の4分の3以上の株式を有する株主が出席したうえ、資本金の2分の1以上の株主による賛成が必要となります(190条)。
また、メキシコの会社法上、株式の有利発行は認められておらず、額面金額を下回る金額での発行は禁じられています(115条)。そのため、株式のプレミアム(売却価額と額面価額との差)、その他過去の出資の資本計上の結果、または利益剰余金や評価制引当金の資本組み入れとともに、株式の価値が完全に充足され、かつ、特別総会の決議に従って株主に交付される株式のみが発行済み株式となります(182条)。
なお、メキシコ会社法上、出資の履行については、金銭出資のほか、現物による出資や会社に対する役務の提供での出資も認められています(141条、114条)。出資の履行がなされない場合、一定の手続を経て株主となる権利は消滅します(118条、120条、121条)。
⑵ 株式発行の際の規制について
前述のようにメキシコの会社法上、株式の有利発行は認められていません(115条)。
また、定款に定めることによって複数の種類株式を発行することは可能ですが、配当がない株式の発行はできません(112条)。更に、会社は、既存株式の払込みが完了するまでは、新たに株式を発行することができません(133条)。
⑶ 既存株主の株式引受権
新規の株式発行について、既存株主は、発行される株式を、自身の有する株式数に応じて引き受ける優先権を持ちます。当該権利は、資本増加に関する株主総会における合意が経済省の電子システムに掲載されてから15日以内に行使されなければなりません(132条)。