「日本における海外からの借入に関する規制の概要」 

外国為替及び外国貿易法(「外為法」)は、対外取引が自由に行われることを基本としており(同法1条)、海外からの借入についても、原則は自由です。

ただし、貸付を行う側が規制を受ける場合があります。外為法上の「外国投資家」(同法 26 条 1 項)が、国内法人に対し、1年を超える金銭の貸付を行う場合で以下のいずれにも該当する場合には(外為法26条2項7号、対内直接投資等に関する政令2条14項)、財務大臣及び事業所管大臣に対し、当該取引前に届け出る(「事前届出」)か、当該取引後に報告する(「事後報告」)必要があります(同法 27 条 1 項、55 条の 5 第1 項)。事前届出や事後報告は当該外国投資家によって行われ、特定の書式にしたがって、貸付額や借入期間、金利、貸付金の使途等、所定の事項を記入しなければなりません。

(対象となる貸付)

1.当該貸付け後における貸付けの残高が1億円に相当する額を超えること

2.当該貸付け後における貸付けの残高と、当該外国投資家が所有する当該国内法人が発行した社債との残高の合計額が、当該貸付け後における当該国内法人の負債の額として省令が定める額の50%に相当する額を超えること

事前届出を要するものについては、政令や省令等で定めがあり、一定の国・地域の外国投資家からの借入や指定の業種を営む日本企業に対する貸付については、安全保障等の観点から事前届出の対象となります。事前届出を要するものに該当しない場合であっても、事後報告を行うこととなりますが、政令で事後報告が不要とされる例外が定められている場合もあります。