⑴ 概要
インドにおける意匠制度は、2000年意匠法(Design Act, 2000。以下「意匠法」といいます。)によって規定されています。同法によると、「意匠」とは、二次元、三次元又はその双方の形態かを問わず、手工芸的、機械的、若しくは化学的手段によって、分離若しくは結合の如何にかかわらず、物品に施される線又は色彩の形状、輪郭、模様、装飾又は構成の特徴の特徴に限られるものであって、完成品において視覚に訴え、視覚によってのみ判断されるものと定義されています(意匠法2条(d))。
意匠権の存続期間は出願日から10年間です(同法11条(1))。更新は1回のみ可能で、所定の更新手続を経ることで、前記10年の期間の満了日から更に5年の延長が可能です(同法11条(2))。
また、インドはパリ条約に加盟しており、パリ条約締約国で申請してから6か月以内であれば、優先権を主張することもできます(同法44条(1))。
(2) 登録手続き
出願は特許庁(Patent Office)に対し行われます。
審査の結果、拒絶理由がない場合には、特許庁は意匠の登録を行い当該意匠を官報で公告します(特許法7条)。また、意匠権者に対しては、登録証が発行されます(同法9条)。
一方、審査の結果、拒絶事由が認められる場合には、出願人に対し、書面でその旨が通知されます。この場合、出願人は当該通知の日から3か月以内に当該拒絶理由の解消をするか、聴聞の申請をしなければならず、このような対応がなされない場合には、出願が取り下げられたものとみなされます(意匠法規則(The Design Rules, 2001)18条(1))。
(3) 意匠権侵害
登録された意匠について、無断での販売、販売目的での模倣、輸入等を行うことは意匠権侵害に該当します(意匠法21条(1))。
また、意匠権侵害が生じた場合、意匠権者は侵害者に対し、違反行為ごとに最大で25,000ルピーの支払を求めるか(ただし、1意匠について回収可能な額は最大で合計50,000ルピーまでとされています)、または、意匠権者が違犯に対する損害賠償と差止めを求める訴訟を提起し、判決で命じられた額の賠償金の回収と違反行為の差止めを図ることができます(同法22条(2))。