(1) 概要
インドネシアでは、意匠に関する法律2000年第31号(以下、「意匠法」といいます)により、規定されています。この法律で「意匠」とは、3次元又は平面の輪郭、色彩又はこれらの組み合わせによる形状、構造若しくは配置であって、美的印章を与え、一定の生産物、商品、工業製品又は手工芸品に適用できるものと定義されています(意匠法第1条)。
(2) 新規性・保護期間
意匠は、新規性と独自性があり、出願日以前に同一または実質的に同一の意匠が公開・使用されていないことが必要です(意匠法第2条)。ただし、展示会出展による公開や研究目的使用などは6カ月間までは新規制を保持できます(意匠法第3条)。また、意匠権の保護期間は10年間です(意匠法第5条)。
また、出願人がパリ協定に基づきパリ条約加盟国で先に出願していた場合には、優先権(Hak Prioritas)を行使することができ、最初の出願日がインドネシアにおいても実質的な出願日となります(意匠法第9条)。
(3) 申請
申請の際にはa.) 出願の日付、b.)意匠権者(Pendesain)の氏名、住所、および国籍、c.)出願人(Pemohon)の氏名、住所、および国籍、d.)優先権を主張する場合には、代理人の氏名と住所をインドネシア語で記載し、提出する必要があります(意匠法第11条)。また、a.)出願対象の意匠に関する実物、図面、または写真およびその説明書、b.)出願が代理人を通じて行われる場合には、委任状、c.)出願される意匠が出願人または意匠権者本人の所有物であることを証明書する宣誓書を提出する必要があります(意匠法第11条)。インドネシア国外からの出願には、国内での代理人を通じて出願を行わなければなりません(意匠法第14条)。
申請が受理されると3ヶ月以内に意匠広報などにて一般公開され、第三者から異議がないか確認されます(意匠法第26条)。異議申し立てがあった場合、法務人権大臣により任命された審査官(Pemeriksa)により審査が行われ、6カ月以内に異議の是非について判断されます(意匠法第26、27条)。審査基準を満たし、異議もなければ登録が認められ、登録証が発行されます(意匠法第29条)。
(4) 意匠権侵害
意匠権者は排他的権利を有し、研究および教育の目的での使用を除き、自らの同意なく、製造、使用、販売、輸出入、流通を行う者に対して、これを禁止する権利を有します(意匠法第9条)。
意匠権者は、故意かつ無断で、上記に関する行為を行った者に対して、損害賠償請求、該当する行為の差止め請求をすることができます(意匠法第46条)。また、違反した者には最長4年の拘禁および/または最大3億ルピアの罰金が科される可能性があります(意匠法第54条)。